フットサルの基本技術「足裏トラップ」の有効性
フットサルの代表的な基本技術の一つに「足裏トラップ」がある。読んで字のごとく、足の裏でボールをトラップすることを指す。「トラップ」とはサッカー、フットサルでよく使われる用語で、ボールを受けた時にそのボールをコントロールする技術のことである。
サッカーにおいてはあまり馴染みがない足裏トラップだが、フットサルでは多用される。理由の一つは、コートが狭いことにある。人と人の距離が近いので試合中にボールが少しでも体から離れてしまうと、相手にボールを奪われてしまう可能性が高くなるからである。では、なぜ足裏トラップが良いのか。
まずは、ボールを受けた瞬間に相手ディフェンスとの距離が近かった場合、足裏で踏んでいることにより、そのままボールを引いて逃げることができる。さらに引くだけでなく、左右にボールをコントロールして動かすこともできる。このコントロールの際に、インサイドトラップなどに比べて足裏の方が正確にボールを動かすことができるメリットがあるのだ。
フットサルの公式戦は基本的に体育館で行われるので風や雨などの天候の影響はなく、床は平らなのでボールがイレギュラーなバウンドをすることがほぼない。さらにサッカーのスパイクとは違い、フットサルシューズの足裏は平らになっているので、足裏でのコントロールがしやすい。
一方で、サッカーの試合は外で行われるので天候の影響を受けやすく、さらに芝生や土のグラウンドで行われることでイレギュラーなバウンドをする可能性があるため、足裏でトラップすることは難しい。そして、スパイクを履いてプレーするのでシューズの構造上、足裏のコントロールは難易度が上がるため、足裏トラップをすることはあまりない。
ただ、決してサッカーでは使えないというわけではなく、例えばフリーな状態で次のキックを蹴りやすくするために足裏で蹴りやすい場所にコントロールする場面はプロの試合でも見ることがある。特にブラジル人選手は足裏を多用している印象がある。これは彼らが幼少の頃にフットサルをプレーしていたからだ。
何が正解というわけではなく使い分けが重要で、足裏トラップの技術も習得しておくことでフットサル、サッカーどちらの競技にも役立たせることができる。
重要なのはパスの強弱とバリエーション
フットサルにおけるパスについては、第一にパススピードが求められる。サッカーのパスは、パススピードが速すぎると受け手がトラップすることが難しくなってしまうので、受けやすいパスの質が大事になる。
しかし、前述したようにフットサルでは基本的に足裏トラップを使うので、パススピードがある程度速くてもボールが浮いていなければ受け手はコントロールすることができる。コートが狭いのでパススピードが遅いと相手選手に取られてしまう可能性が高く、基本的には足元に速いパスを出すことが多い。
フットサルボールは弾みにくい構造になっており、室内でやる場合は天候やピッチコンディションの影響を受けないので、いかにゴロで正確で、スピードが速いパスを出せるかということが重要だ。ただし、味方にシュートを打たせるためのパスや至近距離のパスは、スピードよりも味方が次のプレーをしやすいパスを出すことが求められる。
そして、サッカーのようなロングフィードはないが、コートが狭い中でもうまく空間を使うことが必要なため、浮き玉のパスも重要だ。相手の背後をとる場合、相手選手の頭を越えて、かつコートの外に出ないような絶妙な力加減をしなければならない。少し浮かすことによって、ゴロでは通らないパスを通すことができる。
つまり、狭いコート内でパスの微妙な高低や強弱の使い分けが重要だ。それにプラスして、相手との距離が近い状況でプレーしなければならないので、サッカー以上に利き足ではない足でのパスの正確性も求められる。
シュートを決めるために
フットサルのゴールはハンドボールゴールと同じサイズで、サッカーに比べて小さくシュートの難易度は高い。当然シュートスピードが早ければゴレイロ(ゴールキーパー)は反応しにくくなるが、同時にシュートコースがよくなければ入らない。
フットサルの場合、ゴレイロはできる限りペナルティエリアのギリギリまで出てきてシュートコースを消す。そのため、シュートを打つ際にゴレイロとある程度の距離があれば、強いシュートでコースを狙う方が良い。
しかし、ゴレイロとの距離が近い場合には工夫が必要だ。コースを消されて普通に打つだけでは入らない可能性が高いので、頭上を抜くループシュートや、ドリブルで抜いてからシュートを打つなどゴレイロとの距離によってシュートの種類を使い分ける必要がある。
また、コートが狭いためシュートを打つ際には自分をマークしている選手だけではなく、他の選手もシュートブロックをしてくることもあるので、シュートモーションをできるだけ小さくすることもゴールを決める上では大事になってくる。
そのため、あまりサッカーでは使用しないトーキック(つま先でボールを蹴る)が有効になる。トーキックはシュートモーションが小さくても強いシュートを打つことができるというメリットがある。
シュートのタイミングを掴ませないことで相手選手が反応しにくくなる。キックの種類に加えて、瞬間的にわずかなシュートコースを見つけ、そこを狙う技術も必要。パスにもシュートにも共通して言えることだが、一瞬の判断と状況に応じた使い分けが大事だ。
《ライタープロフィール》
渡邉知晃(わたなべ・ともあき)元フットサル日本代表。Fリーグ通算323試合出場、歴代5位の201得点(2022年2月現在)。2017-2018シーズンにFリーグ得点王。日本代表59試合20得点(2009年~2018年/国際Aマッチ)。現在はABEMA Fリーグ生中継の解説やライターとして活動。著書に「『蹴』論~シュートは考え方で決定力が高まる~」。
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