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フットサルがサッカーに役立つ理由、その違いと共通点や注意点を解説

2022 3/20 11:00渡邉知晃
イメージ画像,ⒸSergey Ryzhov/Shutterstock.com

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フットサルとサッカーの共存

「フットサルをプレーすることがサッカーに生きる」。こういった言葉を聞いたことがある人は多いのではないだろうか。サッカー先進国のブラジル、スペインといった国では、これが当たり前のこととして認識されているが、日本ではまだ馴染みがない。

理由の一つは、フットサルという競技自体が日本ではまだ新しいスポーツであることだ。日本最高峰のフットサルリーグの「Fリーグ」は、まだ発足して14年。対するサッカーのJリーグは発足して29年と、倍以上の歴史がある。

フットサル自体の認知度や理解度が低いことから、サッカーに何がどう生きるのかわからない人が多いように思う。それゆえに「足の裏はサッカーでは使えない」、「フットサルコートは狭いから視野が狭くなる」といったネガティブな意見も出ている。

こう思われても仕方ない部分はあるが、本質は違う。サッカーチームのトレーニングにフットサルのトレーニングを取り入れてもいいし、特に子供たちがフットサルをプレーすることによって得るものはたくさんある。どうやって生かしていくか、何を取り入れていくかが大事である。

ボールを触る回数が圧倒的に違う

2011年より小学生のサッカーが、それまでの11人制から8人制に変わった。変更された理由は「ボールに関わる時間を増やす・プレー回数を増やすことを通して子どもたちの成長を促すことが目的」とされている。

8人制、つまり本来の11人制よりも人数を減らすことで生まれるメリットは、一人一人が試合中にボールに触れる回数が増え、攻守に全員が関わることができ、シュートチャンスが増えることにある。つまり、フットサルに近くなったということだ。

フットサルはゴレイロ(ゴールキーパー)を含めて5人対5人で行うので、8人制よりもさらにこのメリットが大きくなる。ゴールデンエイジでもある小学生年代は、たくさんボールに触れば触るほど選手として成長できるので、試合の中でボールにたくさん触れることは重要だ。

フットサルはサッカー以上に全員で攻め、全員で守ることが必要なので、一人一人のプレーに対する責任感も増し、ボールに触る回数も増えて、自分が試合に関わっているという実感を得ることができる。コートが狭いので、必然的にゴール前のシーンも多くなる。そのためシュートをたくさん打つことができ、ゴール前でのアイディアも生まれやすくなる。

状況判断のトレーニング

状況判断を向上させるために、フットサルをプレーすることは有効だ。20m×40mのコートの中で、両チーム合わせて10人がプレーするフットサルでは、人と人の距離が近い。ということは、自分がボールを持っている時に相手選手との距離も近く、その状態でボールを奪いに来るので早い判断をしなければ奪われてしまう。

仮に目の前の選手をドリブルでかわしたとしても、次にカバーリングしてくる相手選手の距離も近いので余裕はなく、早い判断の連続となる。人と人との距離が近く、スペースがあまりない状況で日々のトレーニングや試合をすることで判断スピードを上げることができる。

局面ごとにドリブルをするのか、パスをするのか、そのパスがダイレクトなのか2タッチなのか、シュートを打つのか、常に最適な判断が求められるので頭を休める暇がない。その中で個人戦術や2人組、3人組の関係を学ぶこともできる。

狭いスペースで行われるフットサルをプレーすることによって、コートが広いサッカーになった時に、余裕を持つことができるようになるのだ。

フットサルからサッカーに移る際の注意点

フットサルをプレーすることがサッカーに役立つという話をしてきたが、気をつけなければならない点もある。

一つ目はボールの違いだ。フットサルボールは弾みにくい構造になっており、サッカーボールよりもサイズが小さい。しかし、サッカーボールは弾むので、バウンドしたボールの処理の仕方が変わってくる。大きさも変わり、弾むボールに対しての慣れが必要である。

特にトラップをする際はフットサルに比べて気を使う必要がある。フットサルボールよりもコントロールすることが難しくなる。この違いに関しては、2つのボールにたくさん触れて、ボール感覚を掴んでいくことが大事だ。

もう一つ、フットサルとサッカーにはピッチの違いがある。基本的に室内の体育館で行われるフットサルと、屋外で土や芝生で行われるサッカー。このピッチの違いにも順応することが求められる。

例えば、体育館の場合は床が平らなのでボールがイレギュラーなバウンドをすることはない。しかし、土や芝生ではそういったイレギュラーなバウンドが起こりやすく、さらには風などの天候の影響も受ける。この点については両競技のプレー経験を積んで慣れていくことで、十分順応ができるものだ。

フットサルとサッカーのお互いの良さを活かしあいながら、両方をプレーすることによって日本サッカー界全体のレベルアップにつながるだろう。

《ライタープロフィール》
渡邉知晃(わたなべ・ともあき)元フットサル日本代表。Fリーグ通算323試合出場、歴代5位の201得点(2022年2月現在)。2017-2018シーズンにFリーグ得点王。日本代表59試合20得点(2009年~2018年/国際Aマッチ)。現在はABEMA Fリーグ生中継の解説やライターとして活動。著書に「『蹴』論~シュートは考え方で決定力が高まる~」。

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