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カーリング「ロコ・ソラーレ」の由来と北京冬季五輪の出場条件は?

2021 9/15 06:00田村崇仁
藤沢五月と吉田知那美,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

12月の世界最終予選で3位以内なら五輪

2連敗の土壇場から涙、涙の大逆転勝利だった。

カーリングの北京冬季五輪に向けた女子日本代表決定戦最終日は9月12日、北海道の稚内市みどりスポーツパークで行われ、3戦先勝方式の最終第5戦で2018年平昌冬季五輪銅メダルのロコ・ソラーレが今年の日本選手権覇者の北海道銀行を8―6で下し、日本代表の座をつかんだ。

チームは2010年8月に本橋麻里が発起人となり創設され、競技が盛んな北海道の旧常呂町(現北見市)を拠点にする。その名は「ローカル」と「常呂っ子」から「ロコ」を取り、イタリア語で太陽を意味する「ソラーレ」が由来。崖っぷちから全員で気持ちを切り替え、チームを救ったのも「太陽」のような持ち前の明るさだった。

2大会連続五輪出場を目指すロコ・ソラーレは12月の世界最終予選(オランダ)に出場し、9チーム中上位3チームに入ると、来年2月の北京五輪出場が決まる。

メンバーは平昌五輪と同じ吉田姉妹と鈴木、藤沢

日本代表決定戦の第5戦、最終エンドで司令塔の役のスキップ藤沢五月の最後のショットが円に吸い込まれるようにピタリと止まった。

歓喜の笑顔と泣き崩れる選手たち。メンバーは「そだねー」や「もぐもぐタイム」が注目された平昌冬季五輪と同じで、全員が北見市出身。試合後は平昌五輪メンバーの本橋も氷上に姿を見せ、全員で抱き合って喜びを噛みしめた。

リードは元バスケ部で28歳の吉田夕梨花、セカンドは理系女子で29歳の鈴木夕湖、サードはムードメーカーで30歳の吉田知那美、司令塔役で笑顔が魅力のスキップは30歳の藤沢、そしてリザーブは42歳の石崎琴美という構成だ。吉田知と吉田夕は姉妹でもある。

2014年まで日本選手権を4連覇した中部電力のスキップだった藤沢、北海道銀行で2014年ソチ冬季五輪出場の吉田知那美が途中加入。選手層を厚くしたチームは2連敗のどん底から全員で話し合い、みんなで笑い、感情を前面に出す「ロコらしさ」を取り戻した。

五輪では平昌の「銅」が最高成績

カーリングは英スコットランド発祥とされ、1998年長野五輪で正式採用された。氷上で重さ約20キロのストーン(石)を滑らせ、約40メートル先のハウス(円)を狙う。10エンドで争う4人制は1エンドに各選手が2投ずつで、ハウス内中心に最も近い相手の石より内側にある石の数が得点となる。

最後に投げる司令塔役のスキップが大きな役割を担う。将棋のような先を読む戦略、ショットの精度、駆け引きが醍醐味で「氷上のチェス」と称される。氷上をブラシで掃くスイープも勝負を左右する。平昌五輪で男女ペアの混合ダブルスも初実施した。

日本のカーリング女子の過去成績は長野五輪5位、2002年ソルトレークシティー五輪8位、2006年トリノ五輪7位、2010年バンクーバー五輪8位、2014年ソチ五輪5位、2018年平昌五輪銅メダル。北京冬季五輪へ薄氷の戦いはまだ続くが、崖っぷちから満開の笑顔を取り戻したロコ・ソラーレは自信を持って世界最終予選に挑む。

平昌五輪銀メダルの韓国なども出場予定で激戦が予想されるが、勝負への「がむしゃらさ」も取り戻したチームにもう恐れるものはない。

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