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ボクシング主要4団体以外のマイナー団体には何がある?西島洋介は元WBF王者

2023 3/14 06:00SPAIA編集部
西島洋介,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

日本の歴代世界王者にカウントされない西島洋介

プロボクシングの井上尚弥(29=大橋)がバンタム級の4団体統一王者となったことで、ボクシングファン以外にも主要4団体の認知度は高まった。

現在、世界のボクシング界を統括するのは世界ボクシング協会(WBA)、世界ボクシング評議会(WBC)、国際ボクシング連盟(IBF)、世界ボクシング機構(WBO)の主要4団体。「主要」と但し書きがつくのは、それ以外のマイナー団体があるからだ。

団体が乱立すると、世界王者が団体の数だけ存在することになり、同じ階級でも誰が一番強いのか分からない。そのため主要4団体とマイナー団体で明確に線引きされており、日本ボクシングコミッション(JBC)も主要4団体以外には加盟していない。

しかし、それでも各団体は独自に世界ランキングを作成し、王者を認定している。かつて日本唯一のヘビー級選手として西島洋介山のリングネームで戦った西島洋介は、ヘビー級より1階級下のクルーザー級(200ポンド=90.72キロ以下)で1997年に世界ボクシング連盟(WBF)のタイトルを獲得したことがある。

しかし、WBFが世界クルーザー級王者として認定してもJBCは非公認のため、日本の歴代世界王者にはカウントされていない。西島はオサムジムを離れてアメリカで戦い、24勝(15KO)2敗1分けの戦績を残した強いボクサーだった。その後は総合格闘技に転向して、K-1などのリングにも上がった。

IBOミドル級王座に挑戦した石田順裕

WBF以外にもマイナー団体は数多くある。国際ボクシング機構(IBO)は1988年に設立され、2013年に石田順裕がゲンナジー・ゴロフキンの持つWBA・IBOミドル級王座に挑戦して敗れている。

他にも「アジアの英雄」マニー・パッキャオはIBOスーパーライト級、井上尚弥に敗れたノニト・ドネアはIBOフライ級王座を持っていたことがある。

世界ボクシング連合(WBU)は1990年代に設立。1996年にはWBUヘビー級王者ジョージ・フォアマンがクロウフォード・グリムスリーを相手に日本で防衛戦を行った。

国際ボクシング評議会(IBC)は、1990年代に人気ボクサーだったヘクター・カマチョがミドル級王者として、晩年のロベルト・デュランやシュガー・レイ・レナードらと防衛戦を行っている。

他にも国際ボクシング連合(IBU)、世界プロボクシング連盟(WPBF)、グローバルボクシング連合(GBU)など団体が乱立されており、活動実績の不明な団体もある。

ちなみにWBFの最新ランキングでは、スーパーバンタム級に転向した井上尚弥がバンタム級1位、5月に井上の挑戦を受けるWBC・WBO王者スティーブン・フルトンがスーパーバンタム級1位にランクされている。主要4団体は他団体の王者を世界ランキングに入れないが、WBFは他団体と連携していないようだ。

統括団体の乱立は世界王者の地位を低下させ、結果的にボクシング人気の低下を招きかねない。WBAとWBCの2団体のみ公認を貫いていたJBCは、2013年にIBFとWBOにも加盟し、世界の趨勢にならって主要4団体を公認した。これ以上は増やすことなく、世界王者の権威を維持する努力が求められる。

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