WBOアジアパシフィック・スーパーライト級王者の平岡
プロボクシングのWBOアジアパシフィック・スーパーライト級王者の平岡アンディ(26=大橋)が、世界挑戦を見据えて1カ月間のガーナ合宿に入った。
所属ジムの大橋秀行会長は自身のインスタグラムで、平岡がガーナで大歓迎を受けている写真を公開し、「ガーナに1ヶ月合宿に入りました。ガーナで物凄い歓迎だそうです。元世界チャンピオン・アズマーネルソンの指導を受けて世界戦に備えます!」と投稿。現在、WBA9位、WBC16位、IBF9位、WBO14位にランクされており、近い将来の大一番に向けて心身ともに鍛え上げることを明かした。
ガーナは父ジャスティスさんの母国。平岡は神奈川県出身だが、幼い頃からアマチュアボクサーだった父の指導を受け、2013年にプロデビューすると、2016年に横浜高校の先輩でもある大橋会長が経営する大橋ジムに移籍した。
2019年にはアメリカのプロモート会社・トップランクと契約し、本場ラスベガスのリングにも上がったことがある。2021年に日本とWBOアジアパシフィック・スーパーライト級のダブル王座決定戦で佐々木尽に11回TKO勝ちして王座獲得。井上尚弥がバンタム級で4団体統一した2022年12月13日のアンダーカードでは、誼敏虎に8回TKO勝ちして4度目の防衛に成功した。
スーパーライト級(140ポンド=63.50キロ以下)は日本では重いクラスで、これまで藤猛、浜田剛史、平仲明信の3人しか世界王者が誕生していない。平岡は22戦全勝(17KO)のハードパンチで4人目の世界スーパーライト級王座獲得が期待されている。
2階級制覇したアズマー・ネルソン
平岡が指導を受けるアズマー・ネルソンは元世界フェザー級、スーパーフェザー級の2階級制覇王者。ボクシングをする環境が整っているとは言えないガーナで、世界的な強豪とグローブを交えるほどの名ボクサーとして名を馳せた。
1982年の世界初挑戦はWBCフェザー級王者サルバドル・サンチェスに15回TKO負けを喫したが、1984年には3階級制覇の名王者ウイルフレド・ゴメスに11回KO勝ちでWBCフェザー級王座を獲得。1988年にはWBCスーパーフェザー級王座決定戦でマリオ・マルチネスに判定勝ちして2階級制覇を果たした。
1991年に無敗のまま4階級制覇を狙ったジェフ・フェネックとドローで6度目の防衛に成功すると、翌1992年3月の再戦では8回TKO勝ちしてフェネックに初黒星をつけた。
同王座は10度防衛後に陥落したが、1995年にガブリエル・ルエラスに5回TKO勝ちして王座返り咲き。「プロフェッサー(教授)」と呼ばれた頭脳派ボクサーで、39勝(28KO)6敗2分けを戦績を残した。
平岡にとって最高の「プロフェッサー」
ネルソンは元々「野生児」と呼ばれるほど荒々しいパンチを放っていたが、キャリアを重ねるにつれテクニックを習得。世界の強豪とのビッグファイトを勝ち抜くためにパワーだけに頼らず、少しずつスキルアップしていった。
平岡も破格のパンチ力が最大の魅力だが、まだ粗削りな部分があり、同じような足跡を辿ったネルソンは最高の「プロフェッサー」となるだろう。
井上尚弥を筆頭に世界を狙う選手がひしめく大橋ジムの中でも、「大化け」が期待できるという意味では平岡が一番ではないか。高いポテンシャルは誰もが認めるハードパンチャーが、1カ月の合宿でどれほど強くなって帰ってくるか楽しみだ。
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