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マイク・タイソンと戦う「元最強王者」ロイ・ジョーンズ・ジュニアとは?

2020 7/27 06:00SPAIA編集部
ロイ・ジョーンズ・ジュニアⒸゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

9月12日に8ラウンドのエキジビションマッチ

リング復帰を宣言していたプロボクシングの元世界ヘビー級王者マイク・タイソンが、自身のツイッターで元4階級王者のロイ・ジョーンズ・ジュニアと9月12日に戦うと明らかにした。

タイソンは54歳、ジョーンズは51歳で合わせて105歳の2人が戦うのは、8ラウンドのエキジビションマッチ。20年前に実現していれば間違いなく「スーパーファイト」になっただろうが、オールドファンを振り向かせることができるか注目される。

東京ドームで2度戦ったタイソンに比べると、ジョーンズの日本での知名度は高くないが、かつては全階級を通じて最強ボクサーを決める「パウンド・フォー・パウンド」No.1と言われたほどの実績を持つ。

1993年、後にミドル級王座を統一するバーナード・ホプキンスに判定勝ちでIBF世界ミドル級王座を獲得すると、翌1994年にはジェームズ・トニーを破ってIBF世界スーパーミドル級王座を奪取して2階級制覇。1996年にはWBC世界ライトヘビー級王座を奪って3階級制覇を達成した。

抜群の動体視力と反射神経で相手のパンチをかわし、スピードあふれる左右のパンチでノックアウトの山を築く。相手に何もさせないまま試合を終わらせ、まさに無敵だった。

106年ぶりにミドル級からヘビー級まで制したジョーンズ

一方のタイソンはこの頃すでに下り坂。1996年3月に世界ヘビー級王座に復帰したが、同年11月にイベンダー・ホリフィールドに11回TKO負けして王座から陥落し、翌1997年には「耳噛み事件」で失格負けし、ますます下降線を辿っていった。逆にジョーンズはWBA、WBC、IBFの3団体のライトヘビー級ベルトを統一して防衛を重ねた。

無冠だったタイソンが2002年6月にWBC、IBF世界ヘビー級王者レノックス・ルイスに挑戦して敗れた翌年、ジョーンズは2階級上のWBA世界ヘビー級王者ジョン・ルイスに挑戦する。

世界中の注目を集めた一戦は、87.5キロのジョーンズが102.5キロのルイスをスピードで圧倒し、文句のない判定勝ち。72.5キロのミドル級からヘビー級までを制したのは、18世紀から19世紀にかけて活躍したボブ・フィッシモンズ以来106年ぶりという快挙だった。

当時の戦績が48勝(38KO)1敗。唯一の黒星は相手をダウンさせた後に攻撃したことによる失格負けで、ジョーンズが負けるシーンを想像することすら難しいほどの強さだった。

奇しくも両者とも身長180センチ

その後、タイソンは王座に復帰することなく2005年のケビン・マクブライド戦を最後に引退すると、ジョーンズもヘビー級挑戦のため無理に増量したことが影響し、往年のスピードが徐々に消え失せていく。戦場をライトヘビー級に戻してからは負けが込み、「最強」の名を欲しいままにした面影はなくなっていった。

タイソンの最終戦績は50勝(44KO)6敗2無効試合。2018年まで現役を続けたジョーンズは66勝(47KO)9敗という戦績を残している。

ヘビー級にしては小柄だったタイソンと、ミドル級出身のジョーンズは、奇しくもともに身長180センチ。現役時代に交わることのなかった2人の英雄のボクサー人生は、意外なところでつながることになった。

日本以上にコロナ渦が深刻なアメリカ。50代になった2人が自身の衰えに抗うように戦う姿が何かしらメッセージとなれば、リングに上がることには意味があるはずだ。

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