クリーンナップの破壊力は球界屈指
バレンティンが退団して今季は打線の再構築が必要になるヤクルト。9シーズン在籍した主砲を失った中で、攻撃力を維持するにはどのような部分がポイントになるのか、打順別打撃データの観点から探っていきたい。
最下位に終わった2019年シーズンのヤクルトだが、打撃面ではリーグ2位の656得点と結果を残すことができた。上位では青木宣親がチーム復帰2年目もしっかり結果を残し、日本ハムからトレード加入の太田賢吾も1番打者として活躍した。
中軸は山田哲人、バレンティン、雄平、村上宗隆が並び、主に山田が務めた3番打者のOPS.920は両リーグトップ。また、3・4・5番打者のOPSがいずれも.800を超えたのはヤクルト・西武のみと、球界屈指のクリーンナップの攻撃力を誇っていた。
しかし、4番打者として409打席に立ったバレンティンが今季はいないという状況で、次なる4番を確立することが2020年型ヤクルト打線の最大のテーマとなるだろう。
新外国人野手に遊撃手のエスコバーを迎え入れたが、大リーグでは「守備型」のプレイヤーであった彼の長打力は未知数。その中では、やはり昨季高卒2年目で36本塁打をマークし、新人王に輝いた村上が4番候補の最右翼となりそうだ。
新4番を期待される村上 プレッシャーをはねのけられるか
村上に4番を期待するにあたっては気になるデータがある。
昨季の村上は6番・三塁手で開幕スタメン入りし、その後6番のほかに5番や7番、そして5月12日の巨人戦で1987年の西武・清原和博以来となる10代での4番スタメン出場を果たした。最終的に上記の打順でそれぞれ100打席以上に立っているが、各打順出場時の成績は以下の通りだ。
打席数が多かった5番、6番では10本塁打以上。106打席の7番でも7本塁打とOPS.982をマークしているが、109打席に立った4番ではわずか2本塁打、OPS.567に終わっている。一方、バレンティンは4番として28本塁打、OPS.903とさすがの成績を残していた。
5月に初スタメン4番を飾った村上はそこから5番をメインに出場を続けた後、6月22日から7月24日までの20試合で丸1か月4番スタメンを続けた。しかし、この期間の本塁打はわずか1本と持ち味を発揮することができなかった。
4番として結果を残せなかったのは、夏場に差し掛かる時期で疲労が大きな要因だったと推測できるが、最も注目される打順での精神的なプレッシャーも無関係ではないだろう。今季は「4番の重圧」をはねのけてアーチを量産できるか。若き主砲の成長にチームの命運がかかっている。
2020年プロ野球・東京ヤクルトスワローズ記事まとめ