日米通算250セーブ達成した平野佳寿
プロ野球で現役として40歳を迎える選手は少ない。論語の「四十にして惑わず」から「不惑」と呼ばれる40歳を今季迎える選手はオリックス・平野佳寿、楽天・岸孝之、巨人・長野久義の3人。平野は3月生まれ、岸と長野は12月生まれのため、学年は平野が1個上だが、いずれも輝かしい実績を残してきたベテランだ。
平野は鳥羽高から京都産業大を経て2005年ドラフト希望枠でオリックスに入団。当初は先発を務めていたが、2010年からリリーフに転向し、2011年に最優秀中継ぎ投手、2014年に最多セーブに輝いた。
2018年から3シーズンはメジャーでプレーし、2021年からオリックスに復帰。昨季、名球会入り条件の日米通算250セーブを挙げるなど通算では835試合登板、64勝85敗250セーブ203ホールドの成績を残している。
ドラフト同期で今季も現役なのは、高校生ドラフト1巡目で入団したチームメイトのT-岡田。他球団を見渡しても炭谷銀仁朗(西武)、川端慎吾(ヤクルト)、大和(DeNA)ら高卒でプロ入りした選手がわずかに残っているだけだ。
平野をここまで支えてきた最大の武器は落差の大きいフォーク。昨季は平均球速145.9キロのストレート、同137.0キロのフォーク、同120.2キロのスライダーのわずか3球種でクローザーを務めた。しかもスライダーは全体の4.3%に過ぎず、ほとんどストレートとフォークだけで試合を締めくくっている。
3人でピシャリと締めるより走者を許しながらも結果的に無失点に抑えることが多く、SNSではたびたび「平野劇場」がトレンドに上がる。自ら招いたピンチを自ら抑え、ファンをハラハラさせて飽きさない投球も人気の要因だろう。
山﨑颯一郎や宇田川優希といった若くてクローザーに適性のある剛腕もいるが、経験値では平野が一枚も二枚も上。今季も「平野劇場」でファンを楽しませながら、まずは「あと8」に迫るNPBのみの250セーブを目指す。
自身16年ぶりの優勝狙う岸孝之
楽天・岸孝之は名取北高から東北学院大を経て2006年ドラフト希望枠で西武入りし、今季で18年目。本格派右腕として1年目から4年連続2桁勝利を挙げ、2014年に最高勝率、楽天にFA移籍後の2018年には最優秀防御率に輝くなど、通算368試合で158勝109敗1セーブをマークしている。
全盛期より球速は落ちたとはいえ、平均140.9キロのストレートは切れが良い。変化球はスライダー、チェンジアップ、カーブだけだが、それでも昨季チームトップの9勝を挙げた投球術は円熟味を増している。
今季狙うは、2018年以来6年ぶりとなる2桁勝利と、優勝以外にないだろう。自身もプロ2年目だった西武時代の2008年に12勝を挙げてリーグ優勝に貢献。巨人との日本シリーズでも2戦2勝、計14.2回無失点の活躍でシリーズMVPに輝いた。
あの感激をもう一度味わうためにも、まだまだ老け込んではいられない。年齢は違うが、ドラフト同期で現在はチームメイトの田中将大とともに、ベテランらしい熟練の投球が期待される。
1500安打まで「あと14」に迫る長野久義
巨人・長野久義は筑陽学園高、日本大、Hondaと大卒社会人出身のため、プロ入りは3人の中で最も遅い2009年ドラフト1位。FA移籍した丸佳浩の人的補償で2019年から4シーズンは広島でプレーしたが、昨季から巨人に復帰すると75試合に出場して打率.259、6本塁打、19打点と元気なところを見せた。
2011年に首位打者、2012年に最多安打に輝いた打撃技術は一級品。さすがに衰えは隠せないとはいえ、「あと14」に迫った1500安打、「あと2」に迫った100盗塁はクリアしたいだろう。
若い頃から同じ釜の飯を食った阿部慎之助新監督が就任し、チーム最年長としてV奪回に貢献できるか。良き兄貴分としてリーダーシップにも期待がかかる。
40歳以上の現役選手は球界最年長44歳のヤクルト・石川雅規を筆頭に、ソフトバンク・和田毅、ヤクルト・青木宣親、中日・中島宏之、オリックス・比嘉幹貴、西武・中村剛也と栗山巧の7人。2024年、新たに40代となる3人の「不惑」に注目だ。
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