歴代1位は金田正一、2位は松岡弘
2021、22年とセ・リーグ連覇を達成したヤクルト。前年と同様にオリックスとの対戦となった日本シリーズには惜しくも敗れ、球団初の2年連続日本一には届かなかったが、黄金期の再来を予感させる強さを見せている。
投手陣は2年連続2桁勝利投手なしに終わったが、石川雅規と小川泰弘の左右のベテラン2人が精神的支柱として支えている。石川は2022年4月23日の阪神戦で勝利を飾り、22年連続勝利をマーク。同年6勝を積み上げ、現役最多の通算183勝まで伸ばした。小川も自身6度目の開幕投手を務めるなどエースとして8勝をマークし、通算勝利数を92としている。
では、この2人の勝利数は球団歴代ではどのくらいに位置するのだろうか。ヤクルトに在籍した投手の勝利数ランキング(前身球団含む)を見ていきたい。
歴代1位は400勝投手、金田正一の353勝だ。享栄商高を中退して1950年にヤクルトの前身の国鉄に入団。2年目に22勝を挙げると、そこから14年連続で20勝以上をマークした。最多勝と最優秀防御率を3度、最多奪三振は10度獲得。沢村賞も3回受賞した。64年オフに巨人へ移籍している。
2位は松岡弘の191勝。倉敷商高から三菱重工水島を経て1967年ドラフト5位で前身のサンケイに入団。4年目の71年から6年連続2ケタ勝利をマークすると、78年に16勝を挙げヤクルト初のリーグ優勝、日本一に貢献した。85年限りで現役を引退。200勝にはあと9勝届かなかった。
現役の石川雅規が183勝で3位
3位は183勝の石川雅規。秋田商高から青学大を経て2001年自由獲得枠で入団すると、1年目から12勝を挙げて新人王に輝く。ルーキーイヤーから5年連続2ケタ勝利を記録し、08年には最優秀防御率のタイトルも獲得。15年には自己最多タイとなる13勝を挙げ、14年ぶりのリーグ優勝に大きく貢献した。
その後もコンスタントに活躍を続け、2021年6月4日の西武戦で球団初の40代での完投を記録。同時に、41歳4か月で球団最年長勝利記録も更新した。22年には史上3人目となるデビューから21年連続勝利を記録。球史に残るレジェンドとなった小さな大投手が22年目、43歳のシーズンに挑む。
4位は村田元一の118勝。明治高から1957年に国鉄へ入団すると、2年目に62試合に登板して15勝、4年目の60年には58登板で18勝を挙げるなど、金田正一に次ぐ第2エースとして投手陣を支えた。13年間で6度の2ケタ勝利をマークし、69年限りでユニフォームを脱いだ。
5位は112勝の尾花高夫。PL学園から新日鉄堺を経て1977年ドラフト4位で入団すると、5年目の82年から4年連続で2ケタ勝利を挙げるなど、ヤクルト一筋14年間で2ケタ勝利を6度達成した。現役引退後はコーチ、監督として5球団を渡り歩き、現在はヤクルトの二軍投手チーフコーチを務めている。
6位は石井一久で98勝。東京学館浦安高から1991年ドラフト1位で入団すると、快速球左腕として活躍。97年9月2日の横浜戦では史上65人目のノーヒットノーランを達成した。2001年までの10年間で5度の2ケタ勝利を挙げ、オフにポスティング制度でMLBへ移籍。06年にヤクルトへ復帰し、2年間プレーした後、FAで西武へ移籍し、13年限りで引退した。日米通算では182勝を挙げている。
7位は93勝の安田猛。小倉高から早大、大昭和製紙を経て1971年ドラフト6位で入団し、1年目から防御率2.08で最優秀防御率を獲得する活躍で、新人王に輝く。翌年も防御率2.02で最優秀防御率を2年連続で獲得したほか、81イニング連続無四死球のプロ野球記録も樹立した。その後も75年から4年連続2桁勝利をマークする活躍を見せ、81年限りで現役を引退した。
100勝まであと8に迫る小川泰弘は8位
8位には小川泰弘が92勝で現役投手2人目のランクイン。創価大から2012年ドラフト2位で入団した右腕は、1年目から16勝4敗、勝率.800と大活躍で、最多勝、最優秀賞率のタイトルを獲得。新人王にも選ばれた。
15年には先発の柱としてリーグ優勝に貢献。その後はケガに苦しんだが、20年に復活を果たす。8月15日のDeNA戦で史上82人目のノーヒットノーランを達成し、3度目の2桁勝利も達成した。21年、22年はリーグ連覇にも貢献。節目の100勝まであと8勝に迫っている。
9位には88勝の川崎憲次郎。津久見高から1988年ドラフト1位で入団すると、2年目の90年に12勝、翌91年には14勝を挙げた。92年は故障により一軍登板なしに終わるも、93年に3度目の2ケタ勝利を挙げカムバック賞を受賞。日本シリーズでは2勝を挙げシリーズMVPにも選出された。
98年には17勝を挙げ、最多勝を獲得し、沢村賞にも選出。ヤクルトには2000年まで在籍し、同年オフにFAにより中日へと移籍した。
10位は伊東昭光で87勝。本田技研から1985年ドラフト1位で入団し、1年目から先発ローテーションに入ると、2年目にはチームトップの14勝をマークした。88年はチーム事情でリリーフに回るも救援だけで18勝をあげ、史上初の規定投球回未到達での最多勝を獲得した。98年限りで現役を引退し、投手コーチなどを務めた後、現在は編成部長を務めている。
現役の石川と小川はそれぞれ200勝、100勝と節目の数字が近づいている。特に、2023年1月13日には43歳を迎える石川が、今後どこまで数字を伸ばすことができるのか注目だ。
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