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【ルーキー通信簿】楽天は育成1位の宮森智志が新人タイ記録の快投 安田悠馬は球団初の新人開幕マスク

2022 11/10 11:00SPAIA編集部
楽天のルーキー通信簿,ⒸSPAIA
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育成1位の宮森が初登板から22試合連続無失点

2022年のプロ野球界は、ロッテの松川虎生が高卒捕手として史上3人目の開幕マスクをかぶり、巨人の大勢が新人最多タイの37セーブを挙げるなど、ルーキーの活躍が目立つ1年となった。

そこで球団ごとに一軍で活躍したルーキーの通信簿を作成してみた。投手は「球威」「制球力」「奪三振」「総合」、野手は「パワー」「選球眼」「走力」「貢献度」のそれぞれ4項目を5段階で評価している。

今回は2年連続でのAクラス入りを逃した楽天を見ていこう。

楽天のルーキー通信簿インフォグラフィック


まずは投手。楽天ではドラフト6位の西垣雅矢(早稲田大)と育成1位の宮森智志(四国IL・高知)の2人が一軍の戦力となった。

西垣は開幕1軍入りを果たすと、中継ぎとして24試合に登板して防御率2.66。比較的な楽な場面での登板が多く勝敗やホールドはなかったが、それでも1年目にしては好成績を残したと言えるだろう。一方の宮森は7月に支配下契約を勝ち取ると、初登板から22試合連続で無失点投球を続け、栗林良吏(広島)の新人記録に並んだ。23試合目に失点したが、失点したのはこの1試合のみで、26試合に登板して1勝1敗1セーブ7ホールド、防御率1.54の好成績を残した。

投手の各項目は球威がリーグの平均球速、制球力は同BB%(対戦打者に占める与四球の割合)、奪三振は同K%(対戦打者に占める奪三振の割合)、総合は同FIP(投手の責任である被本塁打、与四死球数、奪三振数のみで投手の能力を評価した指標)から算定した。

西垣は直球の平均球速が147.9キロで球威の評価は「3」、BB%は10.4、K%は15.6といずれも一軍平均を下回り、評価はともに「2」となった。連投時に球速が落ちるなど課題も見つかった1年目。オフの間に改善に取り組み、来季は勝ちパターンに食い込みたい。

宮森は平均球速147.4キロと西垣と同程度だったが、K%は25.0と高い奪三振能力を見せた。BB%は13.0と制球に課題を残したが、FIPは2.55と高水準で総合評価は「4」となった。来季は開幕からセットアッパーとしての活躍が期待される。

その他、4位の秦勝利(神村学園高)は二軍で2試合に先発して防御率6.00、5位の松井友飛(金沢学院大)は1試合に先発して4回4失点、7位の吉川雄大(JFE西日本)は中継ぎで4試合に登板して防御率1.80の成績を残した。

安田は開幕スタメンマスクかぶるも長期離脱

野手は1位の吉野創士(昌平高)、3位の前田銀治(三島南高)が高卒ということもあり、一軍で出場したのは2位の安田悠馬(愛知大)のみだった。

その安田は球団史上初めて新人捕手として開幕スタメンマスクを任され、3月29日にはプロ初本塁打も放った。しかし、その直後に新型コロナウイルス陽性判定により二軍落ち。さらに左人差し指骨折で長期離脱を余儀なくされ、一軍ではわずか5試合出場、打率.200、1本塁打、1打点の成績に終わった。

野手の各項目は、パワーがリーグの平均ISO(=長打率-打率:長打力を示す指標)、選球眼は同BB/K(四球と三振の割合から打者の選球眼を見る指標)、走力は同spd(走力を示す指標)、貢献度は同wRC(特定の打者が生み出した得点を示す指標)から算定した。

一軍ではわずか12打席にしか立っていないため、あくまで参考程度だが、ISOが.300、BB/Kが0.50をマークし、パワーと選球眼はいずれも「4」となった。来季は万全な状態でどのような結果を残すのか注目したい。

ドラ1の吉野は二軍で48試合(129打席)、打率.197、1本塁打、8打点、ドラ3の前田は同じく二軍で72試合(155打席)、打率.145、0本塁打、6打点の成績だった。

2022年ドラフトでは、立教大の荘司康誠、鷺宮製作所の小孫竜二らを指名し、即戦力投手中心の補強を行った楽天。昨年のドラフトでは3位まで野手と弱点補強に重点を置いた指名を2年連続で行っているだけに、来年どのような若手が台頭してくるか注目だ。

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