セ・リーグ規定打席到達者で打率最下位
DeNAとの首位攻防戦の初戦を制したヤクルトだが、気掛かりなのは山田哲人内野手(30)だ。26日は3番に座って2安打を放ったものの、打率.238はセ・リーグの規定打席到達者で最下位。特に8月は月間打率.156と不振に陥っている。
2015、2016、2018年と3度のトリプルスリーをマークしたリーグを代表する強打者。加齢とともに盗塁数こそ減ってきたが、昨季も打率.272、34本塁打、101打点の好成績で優勝に貢献し、ベストナインにも輝いた。30歳という年齢からも、本来なら脂の乗り切った時期と言えるだろう。
しかし、今季は新型コロナウイルス陽性判定を受けて7月10日に登録抹消。同24日に復帰したもののバットは湿りっぱなしだ。
当初は3番で固定されていた打順も、1番や2番、6番など日替わりになっており、高津臣吾監督も頭を悩ませている様子が垣間見える。26日も2打席連発するなど三冠王へ突っ走る4番・村上宗隆は勝負を避けられることが予想され、その前後を打つ打者が今後の優勝争いのキーマンとなる。実績、経験ともに文句のない山田が存在感を発揮すれば、もっと得点力は上がるはずだ。
山田が本塁打を打てば16勝3敗
山田のバットが頼りになる理由は他にもある。今季19本塁打を放っているが、その試合でチームはなんと16勝3敗、勝率.842を誇っているのだ。山田が本塁打を打った試合の勝敗は以下の通り。
3月25日の開幕戦で阪神の新守護神ケラーから9回に放った同点弾を皮切りに、そのほとんどが勝利に結びついている。5月31日のロッテ戦では、初回に石川歩から先制ソロを放ち、それがチーム唯一の得点ながら1-0で勝利したこともあった。やはり頼れる存在なのは数字が証明している。
しかし現状の打線を比較すると、追い上げる2位DeNAに比べて、村上頼みのヤクルトの方が不安要素が多いと言わざるを得ない。
チーム打率はそれほど変わらないが、DeNAは村上と首位打者を争う3番・佐野恵太、ルーキーイヤーから2年連続20本塁打の4番・牧秀悟、2017年首位打者に輝いた5番・宮﨑敏郎、2018年から2年連続本塁打王の6番ネフタリ・ソトと強打者が並ぶ。打線がつながるとチーム全体が勢いに乗るだろう。
残り29試合、トップを守ったままゴールテープを切るには山田のバットは不可欠だ。「ミスタースワローズ」の背番号1を背負う男の復活が待たれる。
※成績は8月26日現在
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