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ドラフト最多競合ドラ1の今、年度別「目玉選手」のプロ入り後の成績は?

2022 5/10 06:00SPAIA編集部
ソフトバンクの田中正義・日本ハムの清宮幸太郎・中日の根尾昂,ⒸSPAIA
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花巻東・佐々木麟太郎や大阪桐蔭・前田悠伍は来年の目玉?

2022年のドラフト戦線は「不作」と言われている。昨秋の明治神宮大会から話題になっている花巻東のスラッガー佐々木麟太郎や、今春センバツで優勝した大阪桐蔭の左腕・前田悠伍はまだ2年生。ドラフト指名されるとすれば来年だ。今年の高校3年生には逸材が少ないという。

ただ、アマチュア時代の評判や実績とプロに入ってからの成績は必ずしも一致しない。ケガに苦しんだり、指導者に恵まれなかったり、本人の練習不足だったり、原因はいろいろあるだろう。ドラフト1位で複数の球団が競合する選手は、少なくともその時点では選ばれた存在だ。

そこでドラフト年度別の最多競合選手を調べてみた。高校生と大学生・社会人の分離ドラフトから現行の一括開催に変更された2008年以降の一覧が下の表だ。

ドラフト年度別最多競合選手

大石達也は5球団競合もプロでは5勝どまり

2008年は指名が分散し、早稲田大・松本啓二朗(横浜)、日本通運・野本圭(中日)、東海大相模高・大田泰示(巨人)の3人に2球団競合したのが最多だった。松本と野本はすでにユニフォームを脱いでおり、大田は日本ハムを経て現在はDeNAでプレーしている。

2009年は花巻東高の左腕・菊池雄星に6球団競合した。当たりくじを引いた西武で73勝を挙げ、現在はブルージェイズに所属。高評価を受けた高校時代から順調に育った好例だろう。

逆に翌2010年の早稲田大・大石達也は5球団競合の末に西武入りしたが、プロでは5勝6敗8セーブ12ホールドに終わった。早稲田大の同級生・斎藤佑樹も4球団競合の末に日本ハム入りしたが、昨年限りでユニフォームを脱いだ。

2011年は東洋大・藤岡貴裕と東海大甲府高・高橋周平に3球団競合。藤岡はロッテから日本ハム、巨人とわたり歩き、2020年に引退した。高橋は現在も中日でプレーしている。

5球団競合の田中正義はプロで未勝利

2012年は甲子園春夏連覇した大阪桐蔭高のエース藤浪晋太郎に4球団競合した。阪神入り後も1年目から3年連続2桁勝利を挙げたが、その後成績は下降線を辿っている。センバツ1回戦で藤浪から本塁打を放ったものの敗れた花巻東・大谷翔平は日本ハムが単独指名。投打二刀流で大成し、昨年メジャーでMVPに輝いた。

2013年は桐光学園高・松井裕樹に5球団競合。2年夏の甲子園1回戦・今治西戦でマークした22奪三振は現在も最多記録だ。楽天入り後もスライダーを武器にクローザーとして活躍している。

2014年は早稲田大・有原航平が4球団競合の末に日本ハム入りした。2019年に15勝で最多勝に輝くなどNPBで通算60勝を挙げ、ポスティングシステムでレンジャーズに移籍。また、智弁学園高のスラッガー岡本和真を巨人が単独1位指名したのもこの年だった。

2015年も指名が分散したドラフトだった。最多は県岐阜商・高橋純平(ソフトバンク)の3球団だが、仙台育英高・平沢大河(ロッテ)と明治大・髙山俊(阪神)にも2球団競合。ほかにも駒澤大・今永昇太(DeNA)、青山学院大・吉田正尚(オリックス)、東海大相模高・小笠原慎之介(中日)らが1位でプロ入りしている。

2016年の目玉は創価大・田中正義だった。ロッテ、巨人、日本ハム、広島との5教団競合の末、当たりくじを引いたのがソフトバンク。しかし、入団後はケガに泣かされ、いまだ1勝も挙げていない。この年は外れ1位でも桜美林大・佐々木千隼(ロッテ)に5球団競合した珍しいドラフトだった。

清宮幸太郎は史上2位タイの7球団競合

2017年は1年生時から甲子園を沸かせた早稲田実のスラッガー清宮幸太郎に注目が集まった。ふたを開ければ、新日鉄堺・野茂英雄(近鉄)と亜細亜大・小池秀郎(ロッテ拒否)の8球団に次ぎ、PL学園高・福留孝介(近鉄拒否)に並ぶ7球団競合。当たりくじを引いた日本ハムでは1年目から3年連続7本塁打を放ったが、4年目の2021年は一軍出場なし。外れ1位で3球団競合の末にヤクルト入団した九州学院高・村上宗隆にに水をあけられた格好だ。

2018年は大阪桐蔭が2度目の甲子園春夏連覇を達成。投打で活躍した根尾昂が目玉だった。日本ハム、巨人、ヤクルトと4球団競合の末、中日が交渉権を獲得。しかし、プロ入り後は期待されたほどの活躍を見せられていない。また、報徳学園高・小園海斗も4球団競合の末に広島入り、大阪桐蔭で根尾のチームメイトだった藤原恭大は3球団競合の末にロッテ入りした。

2019年は完全試合を達成してMLB球団からも注目を集めている大船渡高・佐々木朗希に4球団競合。結果的に見れば、焦らずじっくり育成したロッテに入団できたことは幸運だっただろう。また、東邦高・石川昂弥(中日)と星稜高・奥川恭伸(ヤクルト)は3球団競合だった。

2020年は近畿大・佐藤輝明(阪神)と早稲田大・早川隆久(楽天)の大学生2人がともに4球団競合。阪神と楽天で高評価に違わぬ活躍を見せている。

記憶に新しい2021年は西日本工大の左腕・隅田知一郎に4球団競合した。左腕不足だった西武で1年目から先発ローテーション入りしている。

野球選手にとってドラフトが人生の節目であることは間違いない。ただ、その後の長い野球人生の行く末は誰にも分からない。果たして今秋のドラフトではどんなドラマが待っているだろうか。

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