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【チャーチルダウンズC】中心はアルテヴェローチェ、惜敗続きもデータ的には好都合 ランスオブカオスは不安要素あり

2025 3/30 17:30勝木淳
過去7年のアーリントンCのデータから見るチャーチルダウンズC,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

好走ゾーンは1、4、7番人気

昨年までの名称は「アーリントンカップ」。シカゴのアーリントンパーク競馬場は2021年に閉場されてしまい、阪神競馬場の提携先はケンタッキー州チャーチルダウンズ競馬場に変わった。

チャーチルダウンズ競馬場と言えば、ご存じケンタッキーダービーの舞台だ。今年は5月3日に開催される。本馬場入場を祝福する「マイ・オールド・ケンタッキー・ホーム」の合唱は競馬の様式美のひとつ。アーリントンパークがなくなるなど、競馬の世界も移ろいが激しい米国だが、残すべきものは頑として変わらない。日本の競馬はヨーロッパの競走体系に米国のエンタメ感を注いだもの。GⅠのお祭り感は米国に由来する。

チャーチルダウンズの名を配したこのレースはNHKマイルCへのトライアル。開催時期が4月に移り、がぜん好走馬を送るようになっただけに、レース名が変わってさらに前進があるだろうか。データは4月に移った2018年以降、過去7年分のアーリントンCのものを使用する。


人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【5-0-0-2】勝率・複勝率71.4%と極端。強いか負けるかだが、どちらかというと期待に応えると考えていい。買うならアタマから。そんな傾向だ。

このほか4番人気【0-2-3-2】複勝率71.4%、7番人気【0-2-1-4】複勝率42.9%と不思議なことに1、4、7番人気にツボがある。ちょっと麻雀のスジっぽい。対照的に6、8、9番人気は全敗。理由は謎だが、こういった偏りはデータとしては気になるところだ。


キャリア別成績,ⒸSPAIA


1、2戦は【0-0-0-14】とさっぱり。さすがに4月のトライアルとなると、キャリアの浅さは経験不足につながる。

この時期で2戦以下ということは、ケガによる長期離脱があったか、仕上がりが遅れたか。3歳冬デビューとなると、戦ってきた相手のレベルにも疑問符がつく。主力がデビューする夏、秋を勝ち抜いた馬たちとは差があるのも仕方ない。

とはいえ、5戦に【4-1-2-18】勝率16.0%、複勝率28.0%と山があるのは注目だ。大抵のトライアルは3、4戦が理想だが、このレースは5戦とそれなりに間隔をつめて経験を積んだ馬たちがいい。4戦【2-3-2-14】勝率9.5%、複勝率33.3%もあわせ、順調に勝ち上がってくるというより、多少重賞やオープンの壁にはね返されるぐらいの経験値がいきてくる。


距離短縮はマイナス材料

今年の注目はシンザン記念2着アルテヴェローチェ。サウジアラビアRCを勝ったものの、暮れのGⅠとあわせ、ここ2戦は惜敗が続く。とはいえ、キャリアのデータからはかえって好都合。重賞2勝目をあげ、GⅠに向けて弾みをつけたい。


キャリア3戦~・前走クラス別成績,ⒸSPAIA
キャリア3戦~・前走GⅢ・着順別成績,ⒸSPAIA


キャリア3戦以上に絞って前走クラス別成績を見ると、前走GⅠが【4-0-0-1】も、今年は桜花賞除外候補スリールミニョンぐらい。実はこのパターンはかなり痛い。基本はNHKマイルCを目標に、暮れのGⅠ以来の始動戦が理想。ここが使えないとなると、好走パターンは絞りづらくなる。

前走GⅢ【1-2-1-12】勝率6.3%、複勝率25.0%は着順別の成績を出してみる。2着【0-1-1-0】だが、6着以下【1-1-0-4】と負けた組から好走馬が出るので、難しい。シンザン記念2着アルテヴェローチェのほかにも、6着ジーティーマンだっておもしろい。

逆に前走きさらぎ賞のランスオブカオスは前走3着の【0-0-0-4】が気になる。しかもこのうち距離短縮が【0-0-0-3】で、本馬に関してはゲートが決して速くない点も懸念材料だろう。


キャリア3戦~・前走1勝クラス・距離別成績,ⒸSPAIA


前走1勝クラス【1-3-3-44】勝率2.0%、複勝率13.7%も、今年のメンバーなら傾向をはっきりさせておきたい。

前走マイル【1-1-1-28】勝率3.2%、複勝率9.7%よりも、狙うなら1600m未満【0-2-2-11】複勝率26.7%の方だろう。こちらも距離短縮組は【0-0-0-5】で、基本短縮は機能しないということも押さえておきたい。


過去7年のアーリントンCのデータから見るチャーチルダウンズC,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。

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