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【ダービー卿CT】4、5歳馬が計9勝 ニューイヤーS勝ち馬トロヴァトーレに追い風データ

2025 3/30 17:30勝木淳
過去10年のデータから見るダービー卿CT,ⒸSPAIA

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1番人気わずか1勝の難解レース

現代まで続くダービー伯爵スタンリー家が爵位をヘンリー7世から叙位されたのは1485年。いまから540年前のことだ。日本だと室町幕府第9代将軍足利義尚の時代にあたり、応仁の乱後の山城国一揆が発生した年と同じ。とてつもない長い時を経てもなお続くダービー伯爵家に日本で触れる機会のひとつがダービー卿CT。競馬の歴史の深さを知る。

そんな趣あるレース名ながら、ダービー卿CTはややこしい重賞だ。安田記念の前哨戦としては微妙であり、ハンデ戦のためエース級の登場はほぼない。安田記念を含め、この先にあるGⅠ戦線へ挑むための賞金稼ぎの場となる。

実力差がない混戦に変則的な中山芝1600mというコースが加わるカオスのような競馬は、予想する側にとってハードル高き一戦だ。データは過去10年分を使用する。

人気別成績,ⒸSPAIA


1番人気は【1-1-1-7】勝率10.0%、複勝率30.0%と期待に応えられているとはいえない。2番人気【2-1-2-5】勝率20.0%、複勝率50.0%から5番人気【2-0-4-4】勝率20.0%、複勝率60.0%までは横並びといってよく、10番人気以下【1-2-0-66】勝率1.4%、複勝率4.3%と大穴の出現もある。

年齢別成績,ⒸSPAIA


年齢は人気よりつかみやすい。4歳【4-3-0-26】勝率12.1%、複勝率21.2%、5歳【5-3-9-27】勝率11.4%、複勝率38.6%が主力を形成し、6歳【0-4-0-36】複勝率10.0%、7歳以上【1-0-1-40】勝率2.4%、複勝率4.8%とベテランはたまに走るといった程度。ノーマークは怖いが、まずは4、5歳を中心に馬券を組み立てたい。

東風S組は着順と位置取りがカギ

ニューイヤーSを勝ったトロヴァトーレ、阪急杯2着アサカラキング、ニュージーランドT以来約1年ぶりに復帰するエコロブルームら4、5歳中心は今年も同じ。問題はこれら上位候補の対戦比較がつかないことだ。

前走クラス別成績,ⒸSPAIA


戦力比較が難しいなら、データで読み解くしかない。だが、このレースは前走3勝クラス【4-1-0-11】勝率25.0%、複勝率31.3%と昇級馬が目立つ。なかでも前走マイルが【2-1-0-8】勝率18.2%、複勝率27.3%だが、今年は不在。どちらかというと、前走重賞組が多い組み合わせだ。

前走GⅢ・距離別成績,ⒸSPAIA


前走GⅢも前走マイルが【2-3-3-27】勝率5.7%、複勝率22.9%で、延長【1-0-0-19】勝率、複勝率5.0%、短縮【0-0-1-12】複勝率7.7%をリードする。やはりマイル戦線を歩む馬を中心に考えよう。とりわけ東京新聞杯【2-2-3-17】勝率8.3%、複勝率29.2%がよく、5着以内【1-2-1-3】、6着以下【1-0-2-13】。7着シャンパンカラーなどなくはないが、強く推せるほどでもない。

阪急杯2着アサカラキングは距離変化がカギとなる。前走GⅢ1400mは【1-0-0-12】。自身も3歳暮れ以来のマイル出走で、ダッシュ力は間違いなし。あとは抑制を効かせた流れをつくれるか。

前走OP/L・レース別成績,ⒸSPAIA


ポイントになりそうなのは前走オープン・L【3-3-5-43】勝率5.6%、複勝率20.4%の取捨選択だ。3着の半数はここから出現しているものの、数もいる。うまく整理したいところだ。

レース別では東風Sが【2-2-3-25】勝率6.3%、複勝率21.9%と整理のカギ。着順別では1着【0-1-0-7】複勝率12.5%、2着【0-0-2-3】複勝率40.0%で、3着【1-0-1-1】勝率33.3%、複勝率66.7%、4~9着【0-0-0-10】、10着以下【1-1-0-4】勝率16.7%、複勝率33.3%。3着か10着以下が中心とややこしい。

中団から競馬をすると、【2-1-2-8】勝率15.4%、複勝率38.5%で、先行【0-1-1-10】複勝率16.7%。東風Sで差した馬が狙い。タシットは先行と着順が引っかかる。

同舞台のニューイヤーSは【1-0-1-5】勝率14.3%、複勝率28.6%。東京新聞杯、東風Sをパスしてここというローテはそう多くない。ここは1、2着【1-0-1-2】、3着以下【0-0-0-3】。数は少ないが、トロヴァトーレには追い風になる。中山4勝、中山芝1600m2戦2勝。実績を考えるとチャンスだ。

過去10年のデータから見るダービー卿CT,ⒸSPAIA


ライタープロフィール
勝木 淳
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースオーサーを務める。『オルフェーヴル伝説 世界を驚かせた金色の暴君』(星海社新書)に寄稿。

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