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【選手分析】中日#17 柳裕也「技巧派右腕の新たな決め球」

2021 11/24 11:00データスタジアム
中日ドラゴンズの柳裕也,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

チェンジアップの増加が2ケタ勝利へ

入団5年目の今季、自身初タイトルとなる最優秀防御率と最多奪三振の2冠に輝いた中日・柳裕也。勝利数や投球回でもチームトップの数字をマークし、先発陣をけん引した。これまでのキャリアで最も充実したシーズンを送った右腕について、今回は分析していきたい。

2019~21年:投手成績,ⒸSPAIA


今季の柳は、ストレートの他にカットボール、チェンジアップ、スライダー、カーブの4球種を主に投じていた。初めて2ケタ勝利を挙げた2019年と比較すると、特にチェンジアップの割合が大きく増加していることが分かる。

2019~21年:球種別投球割合,ⒸSPAIA


このチェンジアップは三塁側に小さく変化しながら沈む球で、柳自身は「チェンジアップ系のシンカー」と表現している。球速は130キロ前後で、持ち球の中では一塁側に変化するカットボールに近い。スピードが似ていて逆向きに動く球種があるため、打者にとっては瞬時に見分けることが難しいことが予想される。

2021年:主な球種別平均球速,ⒸSPAIA

宣言した目標を見事達成

球種別投球割合の変化は、2ストライクと追い込んだ場面に絞ると顕著になる。2019年は主にストレートとカットボールで勝負していたが、今季はストレートの割合が減少し、変化球をより多く使うようになった。

2019~21年:2ストライク時の球種別投球割合,ⒸSPAIA

中でもチェンジアップは奪空振り率が年々上昇しており、今季はリーグ平均を上回る数値をマーク。以前から優秀な水準にあったスライダーやカットボールと合わせて、3種類の決め球を使うことができた。

2021年:主な球種の奪空振り率,ⒸSPAIA


質の高い変化球を巧みに投げ分け、打者に狙い球を絞らせない――。ストレートを含めた4球種の奪三振数がおおむね横並びになるというデータに、右腕のピッチングスタイルが表れている。

2019~21年:球種別奪三振内訳,ⒸSPAIA


昨年オフに宣言した「1年間ローテーションを守り、2ケタ勝つ」という目標を見事達成し、中心選手の1人へと成長を遂げた柳。立浪新監督のもとで上位進出を目指す来季も、持ち前の投球術を存分に発揮してくれるはずだ。


企画・監修:データスタジアム
執筆者:秋山 文


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