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【数字で見るチーム力の変化:巨人編】昨季より打撃スタッツが大幅悪化も投手は良化?

2021 11/25 11:00SPAIA編集部
読売ジャイアンツ監督の原辰徳,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

補強実らず打撃スタッツは大幅に悪化

今シーズンの巨人はセ・リーグ3連覇を目指すも、借金1の3位に終わった。クライマックス・シリーズではファースト・ステージで阪神に連勝し、ファイナルステージに進んだものの、リーグ覇者のヤクルトの前に2敗1分けと1勝もできず敗退した。

昨オフの巨人の動きを振り返ると、退団した主力はおらず、外国人選手や国内FA選手の補強を行い、戦力の上積みに成功していたように見える。しかし結果は3位に終わり、日本シリーズにも進出できなかった。はたして数字面ではどのような変化が起きていたのだろうか。打撃スタッツと投手スタッツに分けて振り返ってみたい。

巨人打撃スタッツ比較,ⒸSPAIA


打撃スタッツはほぼ全項目で悪化した。新外国人のスモークとテームズ、そしてFAで加入した梶谷隆幸が、そろって期待通りの働きができなかったことが大きく影響している。

そのなかで唯一、良化したのが本塁打だった。169本は12球団最多。試合数が120試合から143試合に増えたこともあり総本数は34本増加している。1試合平均で見ても0.05本とごく僅かではあるが増えた。

昨シーズンは2桁本塁打達成者が岡本和真、丸佳浩、坂本勇人、ウィーラーの4人だったが、今シーズンは松原聖弥と大城卓三の2人も加わり合計6人となった。2桁本塁打達成者6人は12球団でもっとも多い。どこからでも本塁打が出る脅威の打線を形成していた。

しかし、打率、出塁率、長打率はすべて悪化。安打数、得点数も減少しチームの得点力アップには寄与していない。なかでも気になるのが四球数だ。表にはないが、昨年は120試合で423四球を奪い1試合平均は3.53四球だったが、今年は143試合で431四球。1試合平均は3.01四球となり、出塁率の悪化に大きく影響している。

また盗塁数も減少した。代走の切り札だった増田大輝が23盗塁から8盗塁に大きく減らしたのが要因だろう。

失点、防御率は悪化もセイバー指標は良化

投手スタッツを見てもほとんどが悪化している。

巨人投手スタッツ比較,ⒸSPAIA


桑田真澄チーフコーチ補佐が開幕前に掲げた「9回完投135球」も定着せず、完投数は昨シーズンの4から増えなかった。試合数が増えたことを考えると、実質的には減少していると言ってもいいだろう。それだけでなく、QS%も約2%減少。完投数が増えないばかりか、先発投手が試合を作る割合も若干ではあるが減ってしまった。

失点数が増え防御率も悪化しているが、奪三振、与四球、被本塁打を表す指標は昨シーズンからほとんど変化がない。対戦打席数に対する奪三振の割合を示すK%(三振/打席数)、与四球ひとつあたりの奪三振数を表すK/BB(奪三振/与四球)はわずかながら向上した。

表にはないが、FIP(投手の責任である被本塁打、与四死球数、奪三振数のみで投手の能力を評価した指標)を見ると、昨シーズンの3.98から3.84と良化している。失点数や防御率で見ると投手力が大きく落ちたように見えるが、FIPで見ると投手陣の能力は向上していたと言えそうだ。

失点数が増えた大きな要因は守備にある。DER(グラウンド上に飛んできた打球のうち、野手がアウトにした打球の割合を表す指標)は.721から.708へ悪化した。打球をアウトにした確率が減ったことで失点が増えたと見ることができる。

巨人がリーグ王者に返り咲くためにも打線の強化が必須であることは間違いない。しかし、往々にして強打者は守備に難がある。そのバランスを考えた補強が大事になりそうだ。

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