史上4人目となる新人3割20本塁打達成など記録ずくめとなった1年
今季のセ・リーグは、広島・栗林良吏や阪神・佐藤輝明をはじめとしたルーキーたちが開幕から球界を席巻。新人王のタイトル争いは、まれに見る激戦となった。
そんな新人王の有力候補の1人が、DeNAの牧秀悟だ。開幕からクリーンアップを任され、8月にはルーキー史上初のサイクル安打を達成。最終的に新人では歴代3位となる打率.314をマークした。
プロ1年目で打率3割をクリアしたのは23年ぶり、打率3割と20本塁打をそろって達成したのは史上4人目、35二塁打はセ・リーグ歴代最多と、記録ずくめのルーキーイヤーとなった牧。今回は、そんな新人離れした打撃技術の一端に触れてみたい。
新人離れした適応力
牧の成績をシーズンの前後半に分けてみると、後半戦は三振割合が改善し、打率が大きく向上していたことが分かる。新人選手の場合、弱点の露呈や疲労の蓄積などによって徐々に成績を落としそうなものだが、牧はむしろシーズン終盤に状態を上げていた。
そうした好成績の一因に、「ストレートへの適応」が挙げられる。前半戦のストレートに対するコンタクト率はリーグ平均を下回っていたが、東京五輪の中断期間を挟んだ後半戦には、この数値が大きく改善。もともと苦にしていなかった変化球への対応力はキープしつつ、プロのスピードボールに対して見事な適応を見せた。
空振りが減ったこともあり、後半戦はストレートに対して打率.420をマーク。これはリーグでも2位以下を大きく引き離す、断トツの数字だった。開幕直後には「まだ、ストレートに差し込まれるときもある」と話していた牧だが、今や直球を打つことに関しては球界屈指と言っても過言ではない。
“優秀なルーキー”という枠を飛び越え、いきなりトッププレーヤーの仲間入りを果たした牧秀悟。今季の成長を見るに、打撃の才能はまだまだ底が知れない。すでにベテランのような風格を漂わせる若武者の進化に来季も注目だ。
※文章、表中の数字はすべて2021年レギュラーシーズン終了時点
企画・監修:データスタジアム
執筆者:植松 大樹
【関連記事】
・
DeNA宮﨑敏郎が大型6年契約で残留を決意したハマスタ最終戦の夜
・
レギュラー野手の勲章「規定打席」歴代最多と現役最多ランキング
・
活発なDeNA打線、牧秀悟が乗せれば3割打者5人!過去の達成チームは?