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「打てる捕手」新時代到来か 二桁本塁打は昨季の1人から今季は5人に

2021 10/20 06:00林龍也
読売ジャイアンツの大城卓三・広島東洋カープの坂倉将吾・埼玉西武ライオンズの森友哉,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

5人の捕手が二桁本塁打を達成

今シーズン、各チームの捕手の打力が向上している。大城卓三(巨人)、坂倉将吾(広島)、木下拓哉(中日)、森友哉(西武)、甲斐拓也(ソフトバンク)の5人が二桁本塁打を記録。昨シーズンは甲斐1人のみだったことを考えると、飛躍的に増えたと言える。

過去5年間で見ても、2020年は1人、2019年は3人、2018年は2人、2017年は0人、2016年は1人(捕手メインで出場した選手のみカウント)と、やはり今シーズンは多い。本塁打数だけで打力を語るのはやや乱暴かもしれないが、一つの基準としては考えられるだろう。

2016-2021年に2桁本塁打を達成した捕手,ⒸSPAIA


その特性から、どうしても守備力重視での起用になってしまう捕手だが、近年は特にその傾向が顕著だ。しかし、その風向きが少し変わってきたのかもしれない。

現役を代表する「打てる捕手」は西武・森友哉

現在のプロ野球で「打てる捕手」と言えば、真っ先に名が挙がるのが森だろう。2013年ドラフト1位でプロ入りすると、1年目から6本塁打をマーク。2年目、3年目と二桁本塁打を記録したが、当時は指名打者や外野手としての出場が多かった。

捕手としての守備力に不安があったこと、炭谷銀仁朗(楽天)という正捕手がいたことから「このまま外野で」という声もあったが、徐々に捕手としての出場機会を増やし、2019年には正捕手として打率.329、23本塁打、105打点で首位打者・MVPに輝いた。

かつては、森のように打力があっても守備力に不安がある、もしくは絶対的な正捕手がいた場合、野手にコンバートすることが多かった。西武・中日で活躍した和田一浩は、外野手にコンバートしてから才能が開花して首位打者を獲得、通算2000安打も達成した。今年、史上最年少で通算100本塁打を達成したヤクルトの村上宗隆も、九州学院高時代は捕手だった。

森の成功例が各チームの捕手育成に影響か

一方で、森の成功の影響か、各チームの捕手育成の流れが変わってきたようにも感じる。

ソフトバンクでは栗原陵矢が昨年は17本塁打、今シーズンは19本塁打をマーク。いずれも外野手としての出場が中心だが、登録は捕手のままで、少ないながらも捕手としても出場している(外野手中心のため今回はカウントしていない)。

巨人の大城は、一塁手としても出場しながら今シーズンは正捕手を獲得、初の二桁本塁打を記録した。広島の坂倉も、外野や一塁で起用されながらも、今シーズンは捕手としてチームで最多出場。さらに首位打者争いまで繰り広げている。

捕手の二桁本塁打が増えた要因は、こういった起用法にあるのかもしれない。木下、甲斐は捕手一筋でここまで来たが、今後はこういったタイプが減るのか、それとも増えるのか、注目したいところだ。

捕手の守備力は勝敗に直結しやすいことから、どうしても「大きく育てる」ことのリスクは他のポジションよりも大きくなる。ファンとしては夢を見たいが、チームの勝利はそれ以上に重要なこと。となると、どうしても捕手は守備力重視で、打力のある選手はコンバートするというのが自然な流れだった。

しかし今後は、打力を活かしながら第2、第3捕手として経験を積み、時間をかけて育成するチームも増えてきそうだ。ひとたび打力に優れる捕手がレギュラーに定着できれば、チームにもたらす恩恵は多大なものとなる。

森、坂倉は古田、阿部に続けるか

今回は二桁本塁打を基準としているが、谷繁元信(横浜・中日)、古田敦也(ヤクルト)、矢野燿大(阪神)、城島健司(ダイエー・マリナーズ・阪神)、里崎智也(ロッテ)、阿部慎之助(巨人)らが活躍した1990年代~2010年代前半は、まさに「打てる捕手」全盛の時代だった。

古田は首位打者・最多安打、阿部は首位打者・打点王に輝き、城島は日米通算292本塁打を記録。打撃タイトルこそなかったが、谷繁は26年連続本塁打・通算229本塁打、矢野は通算打率.274・112本塁打、里崎も通算打率.256・108本塁打と、よく打っている。

いずれもベストナイン・ゴールデングラブ賞を獲得しており、攻守でリーグトップクラスの成績を残していた。森や坂倉は、偉大な先輩たちに続く存在となれるか。

ロッテ・佐藤、広島・中村奨らが次の「打てる捕手」候補

今シーズン二桁本塁打を記録した5人以外にも、期待の「打てる捕手」候補は多い。

ロッテの佐藤都志也は、東洋大時代には大学日本代表の4番も務めた逸材。今シーズンは限られた出場ながら4本塁打をマークし、来シーズンのブレイクに期待がかかる。広島の4年目・中村奨成は今シーズン、プロ初本塁打を放つなど、大器の片鱗を見せている。

ヤクルトの内山壮真は、高卒ルーキーながら1軍出場を果たし、イースタン・リーグでは8本塁打を放った。オリックスの頓宮裕真は捕手としては3番手ながら、46試合で5本塁打をマークしている。

また、今秋ドラフトでロッテから1位指名を受けた松川虎生(市和歌山高)は高校通算43本塁打を放った強打者。大学通算32本塁打を放った左のスラッガー・安田悠馬(愛知大)は、楽天2位指名を受けた。いずれも打撃が魅力的な捕手だ。

来年以降、古田や阿部、城島が活躍した時のような「打てる捕手」の新時代が到来することを期待したい。

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