T-岡田が劇打!広島・栗林良吏に初黒星つけた
2010年以来11年ぶり2度目の交流戦優勝を果たしたオリックスが有終の美を飾った。
交流戦最終戦となった13日の広島戦(京セラドーム)は初回に3点を先制されたものの、その裏に杉本裕太郎の13号2ランが飛び出し、3回には6安打を集めて一挙6点を奪い逆転。9回に8-8の同点に追いつかれたが、その裏2死満塁からT-岡田のサヨナラ打で劇的勝利を収めた。
新人記録の22試合連続無失点を継続していた広島のクローザー・栗林良吏に初失点&初黒星をつけ、見事な6連勝フィニッシュ。18試合で12勝5敗1分け、96得点は12球団トップだ。交流戦開幕の5月25日にパ・リーグ5位だった順位は3位に浮上し、貯金3となった。
躍進の大きな要因は打線だ。吉田正尚やT―岡田の主力に加え、ついに覚醒した30歳の杉本裕太郎、横浜隼人高から入団して7年目の25歳・宗佑磨、駿河総合高から入団2年目の19歳・紅林弘太郎らが成長。6月2日の阪神戦と同4日の中日戦以外は全て3点以上を奪い、1試合平均5.33得点を記録した。
元々評価の高かった投手陣も、11日の広島戦であわや完全試合の8回2安打15奪三振をマークした山本由伸に加え、今季大ブレイク中の19歳・宮城大弥が安定。メジャー帰りのベテラン・平野佳寿がクローザーに収まったことも大きかった。まさに投打がガッチリかみ合っての優勝だ。
2010年は交流戦優勝もパ・リーグ5位
岡田彰布監督の就任1年目だった前回優勝の2010年は24試合で16勝8敗だった。坂口智隆が打率.389、後藤光尊が.369、4本塁打、18打点、北川博敏が.349、5本塁打、18打点と絶好調。投手陣も山本省吾が4戦4勝、防御率1.82の力投を見せた。
交流戦の勢いに乗って、リーグ再開後もソフトバンクや西武など上位陣を追撃したものの最終的には5位。それでも69勝71敗4分けと借金は2つだけで、若き大砲・T-岡田が33本塁打で初タイトルを獲得し、エース金子千尋(現日本ハム)は17勝8敗で最多勝に輝いた。
首位・楽天に2差も中嶋聡監督に慢心なし
交流戦で優勝し、シーズンも制したのは2005年ロッテ、2007年日本ハム、2011年、2015年、2017年ソフトバンク、2012年、2014年巨人と過去15年で7度。2015年以降は交流戦の試合数が1チーム24から18に減ったため、その分ペナントレースへの影響も小さくなってはいるが、勢いがつくことは間違いない。
今季は日本シリーズ4連覇中のソフトバンクに絶対的な強さがなく、パ・リーグは混戦模様。首位・楽天でも貯金7で、3位オリックスからわずか2ゲーム差と射程圏内に迫っている。
そして18日のリーグ再開後はいきなり楽天との3連戦が組まれている。ここで勝ち越せれば大きく視界が開けてくるだろう。
中嶋聡監督は交流戦優勝について「特に感想はありません。とてもいいことだとは思いますが、まだまだ試合は続きますからね」と意に介さないコメント。さらに「最初のカードから首位との戦いになりますからね。どうやって食らい付いていくかということですよね」と早くも先を見据えている。
再開後もこの勢いを持続できるか。1996年を最後に12球団で最も優勝から遠ざかるオリックスが、混戦パ・リーグの台風の目になってきた。
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