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なぜヤクルト村上宗隆は三振が多いのに打率と本塁打の両立が可能なのか?

2021 5/30 06:00占部大輔
東京ヤクルトスワローズ,村上宗隆ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

コーナーに決まったボールにはめっぽう弱い

巨人・岡本和真、阪神・佐藤輝明と並ぶ13本塁打でホームランダービートップタイを走るヤクルト・村上宗隆。交流戦に入ってからノーヒットで打率は3割を切ったが、それでも.284と悪くない数字をキープしている。

進境著しい21歳には相当な打撃技術が備わっていると思われがちだが、データではその真逆。SPAIAのゾーン別データを見ると、コーナーに決まったボールにめっぽう弱いことが分かる。

村上宗隆ゾーン別データ


内角高めの打率.091、内角低め同.167、外角低め同.162と軒並み低打率を記録している。この3つのコーナーは、配球時にも重要とされるL字ラインで、投手のウイニングショットになるコースであることが多い。ゆえに投球割合も高くなる。

投手の基本とも言われる外角低めのボールに対しては、9分割のゾーン別で最多の18三振を喫している。さらに三振数は阪神・佐藤輝明に次いでリーグワースト2位の47個を数える。

三振も多く、コーナーに決まったボールにも弱い村上が、なぜ2割台後半の打率を記録し、本塁打王争いでトップを走ることができるのだろうか。

真ん中付近のボールは逃さない“好球必打”

その理由は「好球必打」にある。村上の今季のヒートマップでは、安打を放ったボールのほとんどが甘いコースに集まっていることが確認できる。

村上宗隆ヒートマップ


さらに、ゾーン別のデータからも真ん中のコースのボールは、真ん中高めとど真ん中が打率.333、真ん中低めが同.400と全てのゾーンで打率3割を超えている。

手が伸びた状態でバットを振れるため、最もボールが飛びやすいとされる外角高めにおいては打率.625で、ゾーン別最多となる4本塁打を放つなど圧巻の数字が並んでいる。

プロの投手も人間だ。全てのボールをコーナーに集めることは不可能である。村上はその投手の失投を確実に仕留め、現在の成績を維持している。

「甘い球を見逃さない」という野球の常識を、最も体現している男・村上宗隆。やっていることは至ってシンプルだが、当たり前を当たり前にできる技術こそが、打率キープと本塁打量産を両立させている。

本塁打王争いのライバルたちとの比較

村上の成績は、ホームランキングを争う選手たちと比較してみても異色であることがわかる。

セ・リーグ本塁打王争い上位5人成績比較


まず、セ・リーグ本塁打ダービーのトップ5人では阪神・サンズに次ぐ打率。長距離打者はホームランを狙って強振するため、ある程度ミスショットや空振りが増えるのは仕方ないが、その中で25日まで打率3割をキープしていた村上がトップタイにいるということが、能力の高さを示している。

次に三振数を見てみると、大型ルーキー・佐藤輝明が記録しているリーグワースト1位の64三振を除き、40三振以上している打者は他にいない。この点がライバルたちと大きく違う点で、村上は三振や空振りを恐れず打席で勝負できていると考えられる。

最後に四球数。村上は多くの三振をしているが、四球も他のライバルより遥かに多い37個を選んでいる。三振を1つとられるまでに選んだ四球を表す指標のBB/Kもトップの.787。この選球眼の良さも村上の大きな武器のひとつで、意味のない空振りが少ないことがうかがえる。

交流戦に入ってからパ・リーグの投手に手を焼いているのは気がかりだが、4年目の今季はどこまで成績を伸ばすだろうか。セ・リーグが誇る長距離砲に期待がかかる。

※成績は2021年5月28日現在

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