直近3年、セ・リーグのホームでは80勝80敗2分け
5月25日から始まった交流戦。2005年にスタートして今年で16回目(昨年は中止)、すっかりNPBのスケジュールとして定着した。普段は見られない対戦、顔合わせや、どの選手が活躍するか、など興味が多いが、率直に言って交流戦の最大の話題は「なぜパ・リーグが勝ち続けるのか」ではないだろうか。
いろいろな要因が考えられるが、セ・リーグのチームが、パの本拠地でなかなか勝てないという事実がある。始まったころと最近では、選手も野球のスタイルも変わっている。直近の2019年からさかのぼった3年の数字で見たのが下の表だ。
ここ3年のトータルでは、ホームゲームでは互角の勝負をしているが、ロードで大きく負け越していることが分かる。
ただし2019年はホームで阪神が3勝6敗、広島が2勝7敗と大負けしたために、トータルではロードの勝率が良くなっている。
この3年のホーム、ロードの勝敗を球団別に見たのが下の表だ。
DeNAはホームでは6割超の勝率だがロードでは3割台、極端な「内弁慶」であることがわかる。
巨人、広島、中日、ヤクルトも内弁慶、唯一阪神だけがロードの方が勝率が良い。伝統ある甲子園球場は阪神ファンの誇りだが、交流戦ではあまり勝てていないのだ。
なぜセ・リーグのチームはロードで弱いのか?
交流戦に限らず、ロードのチームはホームのチームよりやや不利になるとされる。ホームよりも球場での経験値が低いので、外野のクッション処理など守備面でのハンデがあるとされる。投手にとってもマウンドの高さや固さの問題など、同一リーグの球場とは異なる条件に気を遣う必要が出てくる。
また熱心な応援も、ホームチームを後押しする。ただその点では、今年は少し状況が変化している。新型コロナ禍によって各球場での応援は厳しく制限されている。声をあげることも、激しいアクションをすることも禁止。手拍子を打つことしかできない。さらにオリックスの本拠地の京セラドーム大阪や、ソフトバンクのPayPayドームは無観客だ。心理面でのロードチームのハンデはやや減るのではないかと思われる。
もちろん、ロードでの不利はパ・リーグチームも同様のはずだ。それがセ・リーグのチームだけがより不利になるのは、別の要因がある。
それはおそらくDH制の問題ではないかと思われる。交流戦ではパの主催試合のみDH制が採用される。セのチームはDHを打線に加えることによって普段と異なる戦い方をすることになる点も大きいだろう。
セ・リーグ各球団のDHは日替わり
過去3年(2017~19年)に、セ・リーグ各球団が起用した主な指名打者が下の表だ。
各チームともに外国人選手や、ベテラン選手を中心に起用している。また打撃は良いが守備はあまりよくない選手も起用されている。
ただ、その起用は一貫していない。交流戦でパの本拠地での試合は毎年9試合組まれるが、9試合とも一人の指名打者で戦ったのは、セでは2018、19年のヤクルト・バレンティンだけ。多くのチームは日替わりで指名打者を起用していた。
パ・リーグは対照的にソフトバンクはデスパイネ、ロッテは井上晴哉、西武は栗山巧など「不動の指名打者」がもともと決まっていて、あまり変動はなかった。そのあたりも戦い方に影響した可能性がある。
2年ぶりに行われる交流戦、巨人はメインで起用していた阿部慎之助が引退、ヤクルトもバレンティンが移籍した。DeNAも筒香嘉智はいない。新たなDHを作る必要がある。
今年の交流戦、セがパの本拠地でどんな指名打者を起用して、どんな戦い方をするのかに注目していきたい。
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