唯一のトリプルスリー複数回達成者
大方の予想を覆してセ・リーグ3位につけているヤクルト。中でも昨オフに7年契約を結んだ山田哲人が好調だ。
10本塁打はチームメートの村上宗隆と並んでリーグトップ、21打点はリーグ5位タイと主軸として申し分のない働き。後ろに4番・村上宗隆が控えているため相手投手が勝負してくれることを考えると、山田にとって3番は最も力を発揮できる打順かも知れない。
山田と言えば「トリプルスリー」が代名詞。2015年に打率.329、38本塁打、34盗塁、翌2016年が打率.304、38本塁打、30盗塁、2018年にも打率.315、34本塁打、33盗塁をマークした。
トリプルスリー達成者は1950年の岩本義行(松竹)、同年の別当薫(毎日)、1953年の中西太(西鉄)、1983年の簑田浩二(阪急)、1989年の秋山幸二(西武)、1995年の野村謙二郎(広島)、2000年の金本知憲(広島)、2002年の松井稼頭央(西武)、2015年の柳田悠岐(ソフトバンク)と山田を含めて10人いるが、複数回の達成は山田だけ。長いプロ野球の歴史上でも、燦然と輝く偉業と言える。
3割、300本塁打、300盗塁は張本勲のみ
FA宣言を封印して7年契約という事実上の「生涯ヤクルト」を誓った山田に期待されるのは、通算記録のトリプルスリーだ。
通算打率3割、300本塁打、300盗塁を達成したのは、NPB最多の3085安打をマークした張本勲のみ。打率.319、504本塁打、319盗塁という生涯成績はとても真似できるものではない。
しかし、山田にはその可能性がある。現在、通算打率.293、224本塁打、176盗塁。今年7月で29歳という年齢を考えると、300本塁打は早ければ2023年に届く可能性がある。加齢とともに脚力は衰えるとはいえ、積み上げていける盗塁も十分に射程圏。最も難しいのは打率だろうが、山田なら、という期待を抱かせる。
メジャーでもウィリー・メイズただ一人
メジャーリーグには通算300本塁打&300盗塁を達成した選手しか加入できない「the 300-300 club」という組織がある。バリー・ボンズやアレックス・ロドリゲス、カルロス・ベルトランらわずか8人のそうそうたる面々の中で、さらに通算打率3割もクリアしているのはウィリー・メイズ、ただ一人なのだ。
1950年代から60年代にジャイアンツで活躍し、メッツ移籍後の1973年に引退するまで通算打率.302、3283安打、660本塁打、338盗塁を記録したレジェンド。もし、山田が達成すれば日米通じて3人目の大偉業となる。
ちなみに日本でも300本塁打&300盗塁は張本のほかに、清原和博とともに西武黄金時代を牽引した秋山幸二(437本塁打、303盗塁、打率.270)しかいない。山田はプロ野球史に新たな歴史を刻むか。まずは今シーズン、4度目のトリプルスリーを期待しよう。
※数字は2021年4月30日現在
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