2019年のソフトバンク甲斐野央の新人記録を更新中
広島の新クローザー・栗林良吏が開幕からの連続試合無失点記録を継続している。5月8日の中日戦では8回一死から登板し、初めての「イニングまたぎ」となる1.2回を0封。更新中の記録を「15」に伸ばし、9セーブ目を挙げた。
2リーグ制後の新人無失点記録は2019年にソフトバンクの甲斐野央がマークした13試合だったが、栗林は事もなげにクリアし、なおも記録を継続している。
SPAIAのデータでは、栗林の投球全体の約半分を占めるストレートは平均148.7キロ。オーバースローから投げ下ろし、球威、角度ともに十分だ。さらに平均138.1キロのフォークが24.4%、138.2キロのカットボール、125.4キロのカーブと球種は多くない。速球と落ちる球で勝負する、まさにクローザーに打ってつけのタイプと言えるだろう。
ここまで15.2イニングで被安打わずか4、23奪三振。被打率.083、奪三振率13.21と驚異的な数字を残している。
広島は「江夏の21球」の主役・江夏豊や「炎のストッパー」と呼ばれた津田恒実、通算138セーブの大野豊、通算106セーブの佐々岡真司(現監督)、通算165セーブの永川勝浩ら名クローザーが時代を彩ってきた。その系譜に名を連ねた栗林も偉大な先達に負けない実力は十分に持ち合わせている。
開幕からの日本記録は田島慎二の31試合
では、新人に限らず、開幕からの連続試合無失点記録は誰なのか。
中日・田島慎二は2016年、3月29日の開幕戦から無失点を続け、6月7日のオリックス戦で失点するまで31試合連続無失点をマーク。この年は59試合に登板して3勝4敗17セーブ18ホールド、防御率2.44の好成績だった。
日本記録は藤川球児の38試合
「開幕から」という但し書きを外すと、日本記録を持つのは阪神・藤川球児だ。
2006年開幕当初はセットアッパーだったが、久保田智之の離脱で6月からクローザーに転向。7月12日の広島戦で失点するまで記録した38試合連続無失点がNPB最長記録となっている。この年は63試合登板で5勝0敗17セーブ30ホールド、防御率0.68と文句のない成績だった。
連続イニング記録は金田正一の64.1回
また、連続イニングの無失点記録は400投手・金田正一(当時国鉄)が持っている。
開幕戦で立教大から鳴り物入りで巨人入りした長嶋茂雄から4打席連続三振を奪った1958年だった。64.1回連続無失点を記録するなど、31勝14敗、防御率1.30をマーク。最多勝、最優秀防御率のタイトルを獲得し、沢村賞に輝いた。
広島の新守護神・栗林はどこまで記録を伸ばすのか。昨季パ・リーグ新人王に輝いた西武の平良海馬も開幕から20試合連続無失点を継続しており、どちらが長く続くか見ものだ。
【関連記事】
・セ・リーグ首位打者争いは稀に見る四球の少なさ…菊池涼介は悪球打ち?
・ヤクルト・山田哲人に期待される日米3人目の大偉業とは?
・2021年度プロ野球選手出身社会人チームランキング、1位はJR東日本