福留、内川、能見らが自由契約を経て移籍
このシーズンオフも実績あるベテラン選手が、自由契約を経て所属先を変えている。内川聖一(ソフトバンク→ヤクルト)や能見篤史(阪神→オリックス)は新天地を選び、福留孝介(阪神→中日)は14年ぶりに古巣へと復帰した。
この3人には若手たちへ技術や経験を伝承していく役割も求められているだろう。ただ、内川、能見、福留の3人ともコーチとしてではなく、選手(兼任コーチ含む)として契約しているため、最低限の成績は残す必要がある。一軍に帯同するとなればなおさらのことだ。
では、この3人のように35歳を超えるベテランが自由契約を経て他球団へ移籍した場合、どのような成績を残してきたのだろうか。過去3年間の該当する選手について移籍初年度の成績を振り返ってみたい。
鳥谷ら野手陣は軒並み苦戦
過去3年で、自由契約を経て移籍を果たした35歳以上の野手は7名だった。各選手の移籍初年度の成績は下記のようになる。
もっとも多く試合に出場したのは2018年の渡辺直人(西武→楽天)だ。2011年にトレードによってチームを離れたが、7年ぶりに復帰。スタメン起用は16試合だったものの、途中交代を含め69試合に出場と、ほぼ一軍に帯同していた。打率.208(96打数20安打)と打撃面では目立った成績を残すことはできていないが、登録を抹消されていたのは11日間のみ。一軍での戦力として考えられていたことがよくわかる。
2019年シーズンオフに話題をさらった鳥谷敬(阪神→ロッテ)は、42試合の出場で打率.139(36打数5安打)と苦しんだ。出場試合数、打率、安打のいずれも入団以来ワーストの数字に終わっている。
一方、2019年の中島宏之(オリックス→巨人)は43試合の出場で打率1割台と低迷した。しかし、移籍2年目となった2020年シーズンは復活。2017年以来3年ぶりに100試合以上の出場を勝ち取った。打率も.297(279打数83安打)と結果を残し、優勝に貢献している。移籍1年目で結果を残せなくても、巻き返せる可能性は十分にあるということだ。
金子は移籍初年度に8勝をマーク
一方、投手はどうだろうか。過去3年で4選手(のべ5選手)が自由契約を経て移籍している。各選手の移籍初年度の成績は下記のようになる。
2018年シーズンに移籍した松坂大輔(ソフトバンク→中日)は、テストを経ての入団だった。それでも登録と抹消を繰り返しながら11試合に登板し、ガルシアの13勝に次いでチーム2位タイとなる6勝を挙げた。防御率3.74もまずまずの数字と言っていいだろう。しかし、西武に加入した2020年シーズンは1試合の登板も叶わず、戦力となったとは言い難い。
2019年シーズンの金子千尋(現:金子弌大/オリックス→日本ハム)は、26試合中19試合に先発し109.2回を投げ8勝をマーク。投球回数、勝ち星ともに有原航平(現:レンジャーズ)についでチーム2位の数字。規定投球回にこそ到達しなかったものの、先発ローテーションの一角として十分な働きを見せていた。
同年に古巣ヤクルトへ復帰した五十嵐亮太(ソフトバンク→ヤクルト)も結果を出した。中継ぎとしての起用ながら4月末までに5勝をあげる活躍。その後、登録抹消はあったものの、45試合(42.1回)に登板。かつてのような150キロを超える剛速球は見られなかったが、ナックルカーブやフォークといった変化球を駆使し防御率2.98と、ブルペンに欠かせない存在となった。
以上のように、35歳を超えるベテラン選手たちの成績を見ると、ここ3年間においては、野手と比べて投手のほうが戦力になっていることがわかる。福留、内川、能見の3人はどのような成績を残すのだろうか。
【関連記事】
・中日の2021「年男」 進化する大ベテランの大島洋平、本格派右腕コンビの勝野昌慶とロドリゲス
・ヤクルトの2021「年男」 長距離砲候補・廣岡大志に期待
・わずか29三振の首位打者・吉田正尚が三振するとオリックスは負ける?