2020年のPA/Kは驚異の16.97
2020年に打率.350でパ・リーグ首位打者に輝いたオリックス・吉田正尚は、シーズンを通してわずか29三振しかしなかった。DeNAの宮﨑敏郎と並んで12球団最少だ。
吉田が三振を喫するまでにかかる打席数を示すPA/Kは16.97で、宮﨑の15.86を上回る。平均17打席に1回しか三振しない計算で、パ・リーグ2位の鈴木大地(楽天)が9.41だから、いかに吉田のバットコントロールと選球眼が優れているかよく分かる。
では、その29三振はどの投手から喫したのか調べてみた。
相性悪いロッテ戦、三振したら1勝6敗
吉田が唯一の複数となる3三振を喫したのがロッテの二木康太だった。8月8日の対戦で二木から2三振、南昌輝からも三振を喫し、昨季唯一の1試合3三振だった。二木からは8月29日の対戦でも空振り三振している。
背番号18を背負う二木は190センチの長身から落差の大きいフォークを投げる右腕で、昨季は9勝を挙げた。92.2イニングで79奪三振、K/9(奪三振率)は7.67と驚くほど高い訳ではないが、吉田とは相性がいいのだろう。実際、パ・リーグ首位打者を15打数3安打の打率2割に封じ込んでいる。
吉田は二木と南以外にも岩下大輝、唐川侑己、益田直也、澤村拓一、フローレスから計9三振を喫した。ロッテは対戦打率.268と苦手にしている。
しかも吉田が三振した試合は1勝6敗と、チームの勝敗に及ぼす影響も大きいだけに看過できない数字だ。
ロッテ以外の4球団には軒並み高打率マーク
逆にロッテ以外に球団には軒並み好成績をマークしている。楽天戦は6三振しているものの、対戦打率は.413と高い。則本昂大とは12打数7安打の打率.583、松井裕樹とは8打数3安打の打率.375、最多勝の涌井秀章とは9打数3安打の打率.333と好相性だ。
日本ハム戦でも打率.359と高打率をマークしており、メジャー挑戦が決まった有原航平とは13打数4安打の打率.308、8勝を挙げたバーヘイゲンも7打数4安打の打率.571と得意にしている。ただ、計5三振を喫した試合は4戦全敗。やはり滅多に三振しない吉田が三振すると、チーム成績に影響するようだ。
ソフトバンク戦も対戦打率.337と高い。計5三振のうち1個は千賀滉大から喫したものの、対戦成績はなんと16打数8安打の打率5割。最多勝、最優秀防御率、最多奪三振のタイトルを獲得し、149三振を奪った球界屈指の剛腕から1回しか三振しなかったのは胸を張れるだろう。
西武戦も.376と高打率で、喫した三振はわずか4個。高橋光成とは10打数5安打の打率5割、今井達也とは7打数3安打の打率.429と若き右腕を攻略した。
吉田正尚が三振した試合は勝率.273
ロッテ戦以外では申し分のない成績を残した吉田。29三振を喫した計25試合では、6勝16敗3分けの勝率.273と大きく負け越しており、チームの勝率.398も下回っている。チャンスで回ってくることの多いクリーンアップを任されていたこともあり、勝率の低さは単なる偶然とは思えない。
とはいえ、これ以上三振を減らすのは至難の業だけに、チーム浮上のためには吉田が三振した試合をいかに拾えるか、さらに吉田が天敵・二木を打ち崩せるかが鍵を握っていると言えるだろう。今季も背番号34に注目だ。
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