巨人が若手ホープを放出して高梨雄平を獲得
巨人が将来性の高い右の本格派・高田萌生を放出してまで、楽天の左のサイドスロー・高梨雄平を獲得したのが7月14日だった。シーズン開幕後の交換トレードは緊急の必要性に迫られているからに他ならない。
1970年代から80年代にかけて活躍したサイド左腕は少なくなかった。ヤクルトで通算93勝を挙げた安田猛、「阪神キラー」と呼ばれたヤクルト・梶間健一、巨人のリリーフエースとして1981年に8勝20セーブで最優秀救援投手に輝いた角盈男、1979年から3年連続パ・リーグ最多登板を果たした西武・永射保、近鉄で通算85勝を挙げた村田辰美、広島、近鉄で通算438試合に登板した清川栄治(現西武2軍投手総合コーチ)らが、左右の変化で打者を翻弄した。
その後、徐々に役割が細分化されていくと同時に、阪神で多い時期もあった。クローザーとして1992年の2位躍進に貢献した田村勤、「松井キラー」として君臨した阪神・遠山奬志、ドラフト2位で入団後にサイドスロー転向した吉野誠、「JFK」で鉄壁のリリーフ陣を形成したジェフ・ウィリアムスらが1990年代から2000年代の阪神のブルペンを支えた。
他にも近鉄時代に最多勝に輝きながら現役晩年にサイド転向した小池秀郎や、中日で293試合に登板した小林正人、西武、楽天で456試合登板の星野智樹、広島時代の2011年に76試合に登板した青木高広、ソフトバンク、巨人で活躍し2019年に引退した森福允彦らが何度もチームのピンチを救った。
宮西尚生は最多ホールド記録を更新中
現役の代表格は日本ハム・宮西尚生だろう。ほとんどストレートとスライダーの2つの球種だけで並み居る強打者を封じ込み、2019年まで12年連続50試合以上登板を継続。最優秀中継ぎ投手のタイトルを3度獲得し、昨季終了時点で通算337ホールドのNPB記録を今季さらに上積みしている。2017年のワールドベースボールクラシック(WBC)にも出場し、今季推定年俸は2億円。左のサイドスローとして残してきた実績は、間違いなく歴代最高だ。
ソフトバンク・嘉弥真新也も昨季まで3年連続50試合以上登板しており、年俸は1億円を超えた。今季もいまだ無失点を継続中(7月19日現在)だ。SPAIAの集計では、左打者の外角の被打率は.000と安定感抜群。スライダーが主武器だが、チェンジアップやシュートも使い分けている。
西武・小川龍也も存在感を発揮しているし、スリークオーター気味だがロッテ・松永昂大も昨季は2勝25ホールドを挙げた。左のサイドスローは、終盤のピンチを切り抜けるための貴重なカードとして重宝されている。
自分にしかないスキルを持っていれば、長く生きていけるのはどの世界でも同じ。最近はサイド左腕が減っているが、巨人のトレードが示すように「専門職」としての需要が減っている訳ではない。左のサイドスローの存在価値は相対的に高まっている。
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