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U-18野球W杯、日本のキーマンは聖光学院・赤堀颯と九州国際大付・香西一希

2022 9/8 11:00鈴木公貴
エドスミススタジアム,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

9日開幕、明徳義塾・馬淵史郎監督が指揮

U-18ベースボールワールドカップが2022年9月9日から18日まで、アメリカ(フロリダ)にて開催される。日本代表には投手7人、捕手3人、内野手6人、外野手4人の全国を代表する20人の高校生が選抜されている。

2019年の前回大会は5位に終わっているだけに今大会にかかる期待は大きい。指揮を執るのは馬淵史郎監督(明徳義塾)で、選手20人は以下の通り。

投手 森本哲星(市船橋)
   山田陽翔(近江)
   川原嗣貴(大阪桐蔭)
   香西一希(九州国際大付)
   宮原明弥(海星)
   生盛亜勇太(興南)
   吉村優聖歩(明徳義塾)
捕手 渡部海(智弁和歌山)
   松尾汐恩(大阪桐蔭)
   野田海人(九州国際大付)
内野手 赤堀颯(聖光学院)
    藤森康淳(天理)
    伊藤櫂人(大阪桐蔭)
    光弘帆高(履正社)
    内海優太(広陵)
    鈴木斗偉(山梨学院)
外野手 安田淳平(聖光学院)
    海老根優大(大阪桐蔭)
    浅野翔吾(高松商)
    黒田義信(九州国際大付)

大学日本代表との壮行試合で見えた課題

8月31日に大学日本代表との壮行試合が行われた。結果は4対1で敗戦となったが、格上相手との試合は今後どういった野球をしていくべきか課題が見えるなど、得たものが多い試合となった。

試合内容としては9イニングで1得点とバッティングに課題が残る。普段使用している金属バットではなく木製バットを使用するため、バットへの対応が気になるところではあるが、それよりも大学生投手の投げる常時140キロ代後半の威力あるストレートに対応できていない印象だった。

甲子園ではあまり見られなかった見逃し三振も多く、高校野球のトップレベルで活躍した選手たちでも、球速と威力のある質の高いストレートには苦戦を強いられた。本戦は7イニング制で行われるため、打席数が少なくなることも考慮し、速いストレートへの対応力を事前にどこまで上げられるかが重要になるだろう。

打のキーマンと注目投手

この試合、4番ファーストで出場した内海優太は両チーム唯一の本塁打を放った。打った相手は最速157キロを投げる篠木健太郎(法政大)で、その速球を右中間の最深部に放り込んだ一発には木製バットだけでなく、速いストレートへの対応力も感じさせた。

重要となるポイントは、その4番の前にいかにしてランナーを貯めることが出来るかである。この試合9番セカンドとして先発出場していた赤堀颯がその役割を果たすキーマンになるではないか。

赤堀はこの試合ヒットこそ出なかったものの、セーフティバントを試みるなど随所に何とかして出塁しようという姿勢が出ていた。慣れない外国人投手との対戦において、中々ヒットが出ない苦しい展開も想定できる。別の打席ではきっちりと送りバントを決めており、劣勢を打開する一つの作戦として小技が使えるのは心強い。

守備ではセカンドとして判断の難しい6-4-5のダブルプレーを完成させるなど、冷静な状況判断ができる選手であり、その視野の広さを打席内でも生かしてほしい。

投手では、この日先発した香西一希に期待したい。香西は打者に対し真っ向勝負を仕掛けるのではなく、上手くかわしたピッチングを得意とする技巧派の左投手。この日は立ち上がりこそ緊張からか本来の投球ができず、二つの四球を出すなど乱れたものの、最小失点に切り抜けた。

2回以降は持ち味である打たせてとるピッチングを軸に本領を発揮し、結果は3回1失点。毎回三振を奪うなど、要所では空振りも取れており、コンタクトのうまい日本人打者、それも格上の大学生相手にこのピッチングスタイルが通用したことを考えると、強振してくる外国人打者にはさらに期待していいだろう。

9日にイタリアと初戦

前回大会は、ポジションの偏りは気にせず、とにかくポテンシャルの高い選手を集めた印象があった。それに比べ今大会の選手選考は、ほとんどの選手が各々の高校で守っていたポジションを守れるように考慮されている。

先述の壮行試合では初回に盗塁を仕掛けたり、ランナー一塁の場面で送りバントと、とにかくスコアリングポジションにランナーを進めようという意識が感じられた。これらのことから守りを固め、少ないチャンスをものにし1点をとりにいく、チームとしてそういった野球を掲げていることがうかがえる。

チーム全体で目指すべき野球を徹底し、個々がそれぞれの役割を全うできるかが鍵となる。初戦は9月9日(日本時間10日午前4時)のイタリア戦。オープニングラウンドではメキシコ、パナマ、オーストラリア、チャイニーズ・タイペイと戦う。選手たちには日本の高校球児の代表として思い切りプレイしてほしい。

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