中森俊介、岩崎峻典、高橋宏斗ら実績ある右腕たち
新型コロナウィルスの感染拡大を受け、中止となった第92回選抜高等学校野球大会。例年同様、一冬を越して逞しさを増した選手たちの活躍を楽しみにしていたファンが多かったことだろう。そこで今回は、大会に出場予定だった注目の右腕たちを紹介したい。
まず紹介したいのは、この世代のトップを走る明石商の中森俊介だ。ゆったりしたフォームから繰り出す最速151キロの剛速球に、チェンジアップやフォークなどの変化球も操る本格派。1年夏から甲子園のマウンドに上がると、2年時には春夏連続で甲子園に出場し、チームの4強進出に貢献した。
昨年秋には7試合41回1/3を投げ防御率1.96、43奪三振の好投。7試合のうち4試合で完投、1試合は完封と、エースの投球でチームを4季連続甲子園に導いていた。
ここまで3度の甲子園で、8試合53回1/3を投げ防御率2.53と安定したピッチングを見せてきた中森。夏には本人も公言している「160キロ」を達成し、圧倒的なピッチングで相手校をねじ伏せる姿が観られることを期待したい。
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続いて紹介するのは昨夏の優勝投手、履正社の岩崎峻典。躍動感のあるフォームから放たれるストレートの最速は145キロ。切れ味鋭いスライダーなど、変化球とのコンビネーションで三振を量産する右腕だ。
2年春の選抜では登板なしに終わったが、エースの清水大成(早稲田大進学)との2枚看板で臨んだ夏には全国制覇を達成。星稜との決勝戦では7回途中から清水をリリーフし、2回1/3を無失点。見事優勝投手となった。
甲子園では4試合で計18回1/3を投げ防御率1.96、15奪三振と好投を見せている。背番号1を背負った昨秋は調子が上がらなかったものの、9試合に登板し49回で49奪三振。防御率も1.65と、安定感を増した。調子を取り戻したピッチングが観られるのはお預けになってしまったが、より一層スケールアップした姿を楽しみにしたい。
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3人目は、今秋ドラフト1位候補とも言われる中京大中京のエース・高橋宏斗。名門・中京大中京で1年夏からベンチ入りするも、これまで甲子園経験はなし。2年秋に愛知大会、東海大会を制して臨んだ明治神宮大会でも優勝。19戦全勝で秋を終えた。高橋は12試合に登板し、75回を投げて防御率1.68、72奪三振を記録。さらに先発した8試合は全て完投、6完封と、高い完投能力も見せた。
指にかかった時のストレートのノビは素晴らしく、高めのボール球でも打者が空振りしてしまうほどの威力がある。さらにカットボール、スライダーなどとのコンビネーションは一級品。投球後にやや身体が一塁方向に流れるきらいがあるが、身体の強さが付いてくれば、さらなる進化を見せてくれるだろう。
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