MLBの日本人投手とNPB各球団エースの最高球速
2016年のクライマックスシリーズで日本ハムの大谷翔平が日本人最速となる165km/hを計測して以降、プロ野球で球速150km/hが計測されても、以前ほどの驚きは感じられなくなった。とはいえ、「速球」の指標のひとつとして、今もなお球速150km/hというボーダーラインがあることは間違いない。
球速150km/hというボーダーを超えるために、口癖のように言われる言葉がある。野球経験がある方なら、何となく想像がつくのではないだろうか。そう、その言葉とは「体重を増やせ」である。
一般的に体重が70kg未満だと、150km/hを計測するのは難しいと言われている。それを踏まえた上で、MLBで活躍するエース級の日本人投手とNPBの各球団のエースの最高球速と体重を見ていきたい。
表を見てわかるように、一人の例外もなく体重70㎏を超え、技巧派の阪神・西を除いて球速150km/hを超えている。
体重70㎏未満では球速150km/hを投げることは不可能なのか?
それでは、体重70㎏未満では、球速150km/h以上を計測することは不可能なのだろうか。結論から言うと、極めて難しいが不可能ではない。
というのも、プロ野球選手たちを見てみると、そもそも体重70㎏未満の選手自体がほとんど見当たらない。逆に言うとそれだけ野球選手における「体重」という指標が大事であることがうかがえる。
しかし、プロ野球選手で体重70㎏未満かつ球速150km/h以上を投げることができる選手がゼロというわけではない。オリックスの山岡泰輔と中日の谷元圭介だ。
両投手は体重60㎏台にも関わらず、球速150km/h以上を投げることができる。野球選手としては極めて体重の軽い彼らが、なぜ球速150km/h以上を投げることができるのだろうか。
球速は体重移動と地面の反発力の影響を大きく受ける
野球では打撃、守備、投球のどの動きにも必ず「体重移動」が生まれる。特に投球に関して言えば、軸足に溜めたパワーを踏み込み足に伝える動きがこれにあたる。
体重移動の際、体重が重ければ投球方向に伝える力が大きくなる。そのパワーを大きくするために「体重を増やす」ことは重要になってくるのだ。
ただし、これは体重が重ければ必ずしも体重移動のパワーが大きくなるわけではない。体重移動がスムーズでない場合や、体重がしっかり踏み込み足に乗り切らなければ、そのパワーは半減してしまう。
さらに体重移動の際に地面から受ける反発力をうまく活用することで、体重移動によるパワーを大きくすることができる。実際にスピードボールを得意とする投手は蹴り足(軸足の蹴り上げ)が高い傾向にある。同様に、踏み込み足で伝えてきた体重をしっかり受けることもできている場合が多い。
山岡や谷元が体重60㎏台(谷元は現在72kg)にもかかわらず、球速150km/h以上を投げられるのは、この「体の使い方」の上手さが関係しているのだ。
とはいえ、やはり体重を増やすメリットは大きい。これからプロを目指す球児たちには、ぜひ適切な増量を行ってもらいたい。
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