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世界女王になった奥原 小さくても戦えることを証明した1時間50分

2017 9/21 12:21きょういち
バドミントン
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出典 toonbst / Shutterstock.com


 昨年のリオデジャネイロ五輪で、日本バドミントン界はめざましい活躍をみせた。女子ダブルスで高橋礼華(あやか)、松友美佐紀組が日本勢初の金メダルを獲得。女子シングルスでも、奥原希望(のぞみ)がシングルスでは日本初となる銅メダルを獲得した。

 かつて、「オグシオ」で一躍有名となった女子ダブルスの小椋久美子、潮田玲子組の時は、人気先行と揶揄もされたが、昨年のリオ五輪で日本のバドミントンの強さを、一般の人たちにも印象づけた。

 そして今年8月、英国グラスゴーで開かれた世界選手権で、奥原が金メダルを手にした。シングルスの金メダルは男女を通じて日本勢初。日本ではダブルスの認知度は高いが、テニスを見ても分かるように、バドミントンでも花形はシングルスである。そのシングルスで頂点をとったのだから、あっぱれというしかない快挙である。

史上最年少で日本チャンピオン

 彼女の存在を知ったのは、6年も前になる。奥原が高校2年生だった2011年だ。

 バドミントンの日本一を決める全日本総合選手権に奥原は3度目の出場を果たしていた。あどけない顔で「雰囲気を楽しみたい」と言っていたら、世界で戦う日本代表選手を次々に倒し、頂点に立った。史上最年少のチャンピオンになった。

 現在の身長は157センチだが、当時は154センチ。体の半分近くあるトロフィーを重たそうに抱えていたのが印象的だった。

小さくても戦える

 16歳で日本女王。強いことに間違いないのだが、将来、世界と戦えるのかと言われると、当時はそこまで評価は高くなかったと記憶している。

 先ほども身長のことを書いたが、150センチ台半ばという高さは、女子シングルスとしては低い方である。そして、シングルスは身長が高く、手足が長い選手の方が有利である。

 1人でコートをカバーしなければならないから、少ない運動量でシャトルに届く大きな選手の方が楽である。背が高い方が打点も高く、角度のついたシャトルを打つことができる。

 そのことは、16歳の奥原も自覚していた。

 「粘ることしかできない」

 1日5時間を超える練習量で培ったスタミナを武器に相手がミスをするまで走った。時には飛びついて返球もした。

 「小さくても戦える。小さな人たちを勇気づけたい」。そう語っていた。

シングルスの固定観念を打ち破る

 そして、6年後の今夏の世界選手権、奥原はその言葉を実行した。

 決勝で要した時間は1時間50分。バドミントンの場合、早い試合だと40分ぐらいで終わるときもあるから、異例の長さだ。第2ゲームでは73回にも及ぶラリーがあった。

 最終ゲームでは17―19からの逆転勝ち。

 「相手が苦しく見えてきて、自分の方が余裕があるかなと思えてきた。リードされても我慢できた」。

 高校生の時からスタイルは変わっていない。粘りに粘ることで、相手が先に苦しくなり、そこに攻め入る。体が小さい奥原らしい、戦い方なのである。

 先述のように、シングルスは背が高い選手ではないと勝てない、というイメージがあった。実際、大きな選手が強かったという歴史はあったのだが、奥原はそんな固定観念を打ち破ったのである。

なぜか節目で相手が棄権

 奥原と言えば、不思議な巡り合わせの選手でもある。それは、ここ一番の試合で、相手が棄権するということである。

 もちろん、たまたまなのだが、なぜか節目は不戦勝が続いた。

 全日本総合で初優勝した時は、決勝の相手は急性胃腸炎で棄権した。対戦する予定だった選手は4連覇を狙うほどの実力者だったから、対戦が実現していたら、奥原の史上最年少優勝という快挙はなかったかもしれない。

 昨年のリオデジャネイロ五輪の3位決定戦も不戦勝だった。相手の中国選手が脚をけがしたため、棄権した。中国と言えば、最近でこそ勢いは落ちたものの、世界で最も強いバドミントン王国である。こちらも、対戦が実現していたら、奥原が銅メダルを獲得できたかは分からない。

 だから、今年の世界選手権は不戦勝なしで頂点に立てて、本人もホッとしているのではないだろうか。

 「自分のゴールはここではない。これからも進化し続けたい」と帰国後は話していた。3年後の東京五輪は25歳。脂ののりきったときに迎えることになる。

(続く)

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