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世界女王になった奥原 小さくても戦えることを証明した1時間50分

2017 9/21 12:21きょういち
バドミントン
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シングルスの固定観念を打ち破る

 そして、6年後の今夏の世界選手権、奥原はその言葉を実行した。

 決勝で要した時間は1時間50分。バドミントンの場合、早い試合だと40分ぐらいで終わるときもあるから、異例の長さだ。第2ゲームでは73回にも及ぶラリーがあった。

 最終ゲームでは17―19からの逆転勝ち。

 「相手が苦しく見えてきて、自分の方が余裕があるかなと思えてきた。リードされても我慢できた」。

 高校生の時からスタイルは変わっていない。粘りに粘ることで、相手が先に苦しくなり、そこに攻め入る。体が小さい奥原らしい、戦い方なのである。

 先述のように、シングルスは背が高い選手ではないと勝てない、というイメージがあった。実際、大きな選手が強かったという歴史はあったのだが、奥原はそんな固定観念を打ち破ったのである。

なぜか節目で相手が棄権

 奥原と言えば、不思議な巡り合わせの選手でもある。それは、ここ一番の試合で、相手が棄権するということである。

 もちろん、たまたまなのだが、なぜか節目は不戦勝が続いた。

 全日本総合で初優勝した時は、決勝の相手は急性胃腸炎で棄権した。対戦する予定だった選手は4連覇を狙うほどの実力者だったから、対戦が実現していたら、奥原の史上最年少優勝という快挙はなかったかもしれない。

 昨年のリオデジャネイロ五輪の3位決定戦も不戦勝だった。相手の中国選手が脚をけがしたため、棄権した。中国と言えば、最近でこそ勢いは落ちたものの、世界で最も強いバドミントン王国である。こちらも、対戦が実現していたら、奥原が銅メダルを獲得できたかは分からない。

 だから、今年の世界選手権は不戦勝なしで頂点に立てて、本人もホッとしているのではないだろうか。

 「自分のゴールはここではない。これからも進化し続けたい」と帰国後は話していた。3年後の東京五輪は25歳。脂ののりきったときに迎えることになる。

(続く)

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