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東京国際大の2冠か、駒大の連覇か、青学大の復権か、全日本大学駅伝7日号砲

2021 11/6 17:00鰐淵恭市
イメージ画像,ⒸPavel1964/Shutterstock.com
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学生3大駅伝第2戦・全日本の距離は出雲の1.8倍

学生3大駅伝の第2戦となる全日本大学駅伝が11月7日に行われる。3大駅伝初戦の出雲駅伝で初優勝を果たした東京国際大が2冠となるのか、昨季2冠の駒大が連覇を果たすのか、学生駅伝の王者・青学大が復権を果たすのか。レースは同日8時5分にスタートする。

学生3大駅伝は大会ごとに特色がある。出雲が短い距離のスピード型なら、1区間約20キロを走る箱根はスタミナ型。全日本はその中間のバランス型と言える。出雲は6区間45.1キロ、全日本は8区間106.8キロ。全日本の1区間の平均距離は出雲の約1.8倍になる。そのため、出雲の順位がそのまま全日本に直結するとは限らない。

その意味で、出雲の覇者である東京国際大の2冠への道のりは楽ではない。

東京国際大の2冠には底上げが必須

エースで絶対的な力を持つイェゴン・ヴィンセントは5日発表の区間エントリーで補欠に回った。ただ、レース当日朝のメンバー入れ替え(3人まで)でどこかの区間に配置されるのは間違いない。

おそらくは、2番目に長い7区(17.6キロ)か、最長区間でアンカーとなる8区(19.7キロ)の起用となるだろう。出雲はアンカーで逆転を狙っての配置だったが、ヴィンセント以外の選手の頑張りで、ヴィンセントにトップでたすきを渡した。

ただ、全日本ではヴィンセントがトップでたすきを受けるのは容易ではない。区間エントリー時のメンバー13人のうち、1万メートルで29分を切っている日本選手は出雲の1区で3位だった山谷昌也、3区で区間2位だった丹所健の2人だけ。最後の2区間以外は10キロ前後を走る全日本では1万メートルの力が重要だが、ヴィンセント、山谷、丹所の3人以外の底上げがないと、2冠は難しいかもしれない。

区間エントリーで山谷は2区(11.1キロ)に配置されて、序盤で上位争いを担う役目を背負った。一方で丹所は補欠となったが、ヴィンセント同様、レース当日のメンバー入れ替えでレースを走ることになりそうだ。

7区までに勝負をつけたい駒大

やはり、全日本の距離になると、力を発揮するのは昨年の覇者・駒澤大だろう。

エースで3年生の田澤廉が1万メートルで日本選手の学生歴代2位となる27分39秒21、2年生の唐澤拓海が28分2秒52と、この2人が核になる。昨年のアンカー勝負で東海大、青学大との三つ巴を制した田澤は今回、7区に配置された。今年は7区で勝負を決めにきたと考えていい。

2人以外にも1万メートルで29分を切る選手が4人エントリーしていて、補欠の中に1万メートルを28分台で走る選手が唐澤を含めて4人いる。レース当日は大幅な選手変更が行われるのは間違いなく、名将・大八木弘明監督の手腕が見ものになる。

不安要素もある。田澤とのWエースで、1万メートルで27分41秒68の2年生の鈴木芽吹が欠場することになったからだ。出雲でも鈴木が欠場し、前半での出遅れが響いたが、その二の舞いは避けたいところだ。

もう一つ、気になるのは東京国際大との差だ。ヴィンセントがアンカーになった場合、1分のアドバンテージでは足りないだろう。一方、ヴィンセントが7区になった場合は田澤との勝負になる。ある意味、駒大にとっては7区が勝負になってくる。

層が厚い青学大

3年ぶりの優勝を狙う青山学院大は、1万メートルで27分台の選手はいないものの、28分台の選手が8人もいる。層の厚さが売りだ。さらにスピードのある1年生が2人エントリーしており、1年生の躍進次第では全日本3度目の優勝も狙える。

エースは3年生の近藤幸太郎。1万メートルでチームトップの28分10秒50のタイムを持つ。出雲で1区だった近藤をどこに投入するのか。ライバル校同様、力のある近藤も区間エントリーでは補欠に回った。レース当日のメンバーで区間配置されるのは確実。区間エントリーのメンバーを見れば、終盤の7区の可能性もある。

出雲では2位になったものの、1区の近藤以外にあまり見せ場が作れなかったのも事実。近年の学生駅伝を牽引してきた青学大の力を全日本で見せたいところである。

1年生の躍進がカギの早大、東洋大

面白い存在が、11年ぶり6度目の優勝を狙う早稲田大だ。出雲では最終的に6位だったが、4区を終えた時点では2位でレースを盛り上げた。

1万メートル27分54秒06の中谷雄飛、27分55秒59の太田直希、27分59秒74の井川龍人の27分台トリオが中心になる。井川は2区、中谷は3区(11.9キロ)に配置された。序盤でレースの主導権を握る考えだろう。太田は補欠に回り、当日の変更での区間配置が濃厚だ。

この3人に加え、28分台の選手も3人いるのが早大の強み。さらに力のある1年生の躍進があれば、頂点も見えてくる。

出雲の4区で区間賞をとり、今回は補欠に回った石塚陽士もその1人。ただ、もともと中距離タイプだけに、どこまで距離に対応できるか。むしろ、出雲5区で12位に沈んだ伊藤大志に期待がかかる。全日本は1区(9.5キロ)を任された。高校時代に5000メートルで当時の高校歴代2位となるタイムを出した能力を発揮できるか。

楽しみにしたいのが、東洋大の1年生石田洸介だ。昨年、5000メートルで当時の高校歴代1位となる記録を出した逸材。学生3大駅伝デビューとなった出雲5区で区間賞を獲得し、チームの3位に貢献した。距離が長くなる全日本でどういった対応力を見せるのか。4区(11.8キロ)にエントリーされた。次世代のスター候補の走りも気になるところだ。

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