世代ナンバー1の実力をみせた東洋大・石田洸介
東京国際大の初出場初優勝で幕を閉じた出雲駅伝。学生3大駅伝の初戦となる出雲では、近い将来に学生駅伝界のスターへの成長を予感させる1年生の走りが光った。
高校時代からの評判に違わない走りを見せたのは東洋大の石田洸介だった。
群馬・東京農大二高時代に5000メートルで13分34秒74の高校記録を樹立。出雲駅伝の直前に記録を更新され、前高校記録保持者として学生3大駅伝デビューを果たしたが、区間賞という最高の形で鉄紺のたすきをつないだ。
任されたのは5区(6.4キロ)。6位でたすきを受け取ると、持ち味の大きなストライドで加速した。区間2位の選手に20秒の差をつける18分55秒のタイムで4人を抜き、2位でアンカーにたすきを渡した。東洋大は6区で3位に順位を落としたものの、この成績に石田の走りが大きく貢献したのは間違いない。
石田は大学入学前に故障したこともあり、6月の日本選手権5000メートルでは途中棄権に終わっていた。注目のルーキーだけに、回復具合が注目されていたが、学生3大駅伝の幕開けに間に合った。
残る学生3大駅伝は全日本と箱根。どんどん距離が長くなる。「1年生ですが、臆せず、他大学のエースにも負けない走りをしたい」。すでにスターの風格が漂う。
中距離のスピードをいかした早大・石塚陽士
今回の出雲で区間賞を獲得した1年生は2人いる。もう1人は4区(6.2キロ)を18分40秒で走りきった早大の石塚陽士だ。
東京・早稲田実高出身の石塚は1500メートルを得意とするスピードランナー。高校歴代4位タイの3分44秒62を持ち、即戦力と期待されたが、その期待通りの走りをみせた。
中距離選手らしい、力強い足運びが特長で、向かい風の中でも走りがぶれなかった。4位で受けたたすきを2位で次の区間につないだ。出雲の前には「出雲で実力確認をし、その後で距離を伸ばしていって、箱根でしっかりメンバーに入りたい」と語っていた石塚。中距離選手だけに今後は距離への適応が課題となるが、スピードをいかして対応できれば面白い存在になりそうだ。
輝きを放ったルーキーは優勝した東京国際大にも
ほかにも輝いたルーキーはいる。
東京国際大の初優勝の原動力には、2人の1年生ランナーがいた。佐藤榛紀は2区(5・8キロ)を区間4位で走り、つなぎの区間の役目を果たした。4区の白井勇佑は区間5位の走りでトップをキープした。
三重・四日市工高出身の佐藤、宮城・仙台育英高出身の白井とも、高校時代に5000メートルで14分を切るタイムをマークしており、その実力を大学でもしっかり発揮している形だ。
力のある1年生がそろった青山学院大では、京都・洛南高出身の若林宏樹がデビューを果たした。4区で区間6位とまずまずだったが、この区間では1年生2人に負けており、本人は納得できない走りだったろう。
デビュー戦で苦しんだのが、早大で5区を走った長野・佐久長聖高出身の伊藤大志だ。高校時代に5000メートルで当時の高校歴代2位となる13分36秒57をマーク。同1位をマークした東洋大・石田との直接対決だったが、区間賞の石田とは対照的に区間12位に沈んだ。
バネのきいた走りが特長だが、強い向かい風にあおられ、思うように前方へ加速することができなかった。今後の巻き返しが期待される。
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