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【車椅子テニスの裏側】選手の年収やスポンサー事情は?

2017 4/5 18:49sachi
テニス
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出典 roibu/Shutterstock.com

競技として成立しているスポーツには、それを支えるスポンサーの存在が欠かせない。車椅子テニスも同様だ。選手を通して競技の普及に貢献するスポンサーだが、車椅子テニスの場合、その狙いはどこにあるのだろうか。 選手の側からその実態を探ってみた。

知っておきたい、車椅子テニスプレーヤーの収入実態

車椅子テニスはパラスポーツの1種目で、そのゲーム内容は非常にハイレベルだ。ストロークのボールスピードは通常のテニスと遜色がなく、チェアワークという独自のテクニカルな動きは目を奪われるものがある。いわゆるハンデをまったく感じさせず肉体の限界に挑むその姿は、観衆に興奮と感動を約束してくれる。

そんな車椅子テニスだが、1つの現実的な課題として「収入額の圧倒的な低さ」が挙げられる。世界で活躍する選手たちは、同じくワールドツアーを駆け巡るテニスプレーヤーと、比べものにならないほどの収入しか得ていない。

日本が世界に誇るテニスプレーヤー2名の年収比較

日本を代表するテニスプレーヤーといえば、現在の世界ランキングでトップ10の常連となった錦織圭選手だ。錦織選手の年収は約34億円と言われていて、アメリカのフォーブス紙が発表する「世界のセレブ100人」では日本人で唯一のランクインを果たしている。

これに対し、車椅子テニスで世界1位に君臨したこともある国枝慎吾選手の年収は4000~5000万円程度なのだ。正式な公表はないので推定額となるが、世界1位までのぼり詰めたグランドスラム達成者の収入でさえ、錦織選手が得ている年収の約1.4%だ。

一般にプロテニスプレーヤーの年収は、大会の出場による賞金とスポンサー料が大部分を占めている。それもトップクラスの選手になると、ツアーの賞金よりスポンサー収入の方が高額になっていく。では、国枝選手の場合はどうだろうか。

獲得賞金の格差と、それ以上の隔たりがあるスポンサー料

2009年からプロの車椅子テニスプレーヤーに転向した国枝選手だが、スポーツ選手としてのリスクを考慮すると収入面では厳しい状態にあると想像される。その理由の1つにツアーの賞金設定がある。

車椅子テニスの場合、4大大会の1つである全豪オープンが優勝賞金約600万円だ。これが通常のテニスだと3億円、1回戦敗退でも約500万円の賞金が出るのでその差は歴然としている。グランドスラムを達成していた2014~15年でも、国枝選手の年間獲得賞金は3000万円程度だったと予想される。

当時の国枝選手が推定年収4000~5000万円なので、残り2000万円弱がCM出演などを含めたスポンサー料と考えられる。国枝選手には10社のスポンサーがついているが、それらを合計しても年間の獲得賞金に及ばないという過酷な実態が見えてくる。

「世界のクニエダ」をバックアップするスポンサー企業

前項にも記述したが、国枝選手には個人契約を結ぶスポンサーが10社ある。これは車椅子テニスの選手としてはかなり多い数字。2008年の北京パラリンピックでシングルス金メダルを獲得し、メディアの注目を集めたことをきっかけに、国枝選手は自らプレゼンテーションに出向いた。この10社という数字は自分の力で地道に企業へ売り込んだ賜物なのだ。

2009年にはユニクロと所属契約を結び、ダンロップとは用具使用契約を交わした。昨年のANAとの契約はニュースでも取り上げられた。その他にもHONDAや日本生命といった大手企業や、母校である麗澤大学もスポンサーについている。これらを見ていくと、ユニクロはウェアやユニフォーム、ダンロップはラケットなどの用品類、ANAはツアーや遠征時の移動といった風に、実際の活動に即した契約を結んでいることが分かる。

スポンサー企業の思惑と、企業招致の重要性

世界的に見ても、テニスプレイヤーと契約するスポンサー企業は、競技の人気や知名度、そしてテニスが持つ洗練されたイメージにメリットを感じていることが分析されている。スポーツメーカーなどは自社製品を選手が使用することでPRにつなげるという戦略があるが、競技とは直接関わりのない業種でもスポンサーに名乗りを挙げる企業を増やしていくことは極めて重要だ。

特に車椅子テニスの場合、近年に人気が出てきたとはいえ一般的な認知度はまだ発展途上。スポンサーの数も出資額も、通常のテニスと比べて断然に規模が小さいという実態がある。スポンサー離れは競技の衰退に直結するため、今後の発展に向けた招致活動は人気が出てきた今が絶好のチャンスといえるだろう。

パラスポーツの中でも人気が上昇している車椅子テニスは、障がい者だけでなく多くの方が観戦に訪れるようになり、認知度を上げつつある。競技独自の魅力や選手たちの情熱をくみ取って、スポンサーに名乗りを上げる企業がますます増えていくことを願ってやまない。

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