名古屋ウィメンズマラソン14日号砲、完走すればティファニーのペンダント
2020年度のマラソンシーズンを締めくくる名古屋ウィメンズマラソンが3月14日に開かれる。この大会の目玉は完走の賞品として協賛社のティファニーのペンダントが贈られることだ。
このティファニー、いくらの価値があるのか。そして、トップ選手は優勝すれば、どれだけ賞金をもらえるのだろう。マラソンのお金の事情を調べてみた。
ゴールすると、イケメンからティファニーのペンダントをかけてもらえる。それが、名古屋ウィメンズの売りだ。
このペンダント、もちろん、大会もティファニーもその価格を明かしていないが、ネットオークションには多数出品されている。それを見ると、平均では3000円台で落札されている。さすがに、本来の価格は落札額より上ではないかと思われるが、このペンダントがランナーからは垂涎の的であることは間違いない。
ほかの大会はどんなものがもらえるのだろう。東京マラソンでは、完走メダルのほかに参加賞として協賛社の飲料が提供されている。昨年、陸上の世界遺産に認定された福岡国際マラソンではTシャツが参加賞で贈られる。ただ、今のところ名古屋ウィメンズを超える賞品が完走者に贈られるというのは聞いたことがない。
ボストン1650万円、東京は副賞込みで1100万円
トップ選手はマラソンでいくら稼ぐのだろうか。
レースにはだいたい1～10位ぐらいまでに賞金がある。さらに、有名選手となると、出場するだけでもらえる「アピアランス・フィー（出場料）」がある。これは選手の格によって様々だ。日本のトップ選手なら数百万円。シドニー五輪女子マラソン金メダリストの高橋尚子は数千万円とも言われた。ただ、いずれにせよ、出場料は公表されていない。
また、日本国内のレースでは賞金も公表されていないのが通例。ただ、国内最大のレースとなる東京マラソンは公表されている。
2020年大会では優勝賞金が1100万円。ただし、これは副賞を含んでの金額で、現金部分はもう少し少ない。業界内では現金だけで比較すると東京と福岡国際が同じぐらいではないかといわれているが、詳細な額は不明である。
ちなみに、東京では世界記録のボーナスが3000万円、日本記録が500万円であることも公表されている。
世界では最古のボストンマラソンがトップ
海外のレースの賞金はどうなっているのだろうか。
優勝賞金だけの比較になるが、最も高いのは120年以上前に始まり、世界最古の大会であるボストンマラソンで1650万円になる。
2018年まではドバイマラソンが2200万円でトップだった。ドバイは2000年に創設された後発の大会。オイルマネーを武器に高い賞金を出し、トップ選手を集めてきたが、2019年からトップをボストンに譲ることになった。
大都市マラソンの草分け的存在であるニューヨークも1100万円。ベルリン、ロンドンはおよそその半分だが、記録を出すことを主眼に置いている両大会は、タイムボーナスも充実しているので、トータルで考えればひけを取らない。
川内優輝はプロランナーになって儲かっているのか
公務員ランナーとして有名になった川内優輝（あいおいニッセイ同和損保）は2019年からプロランナーに転向した。公務員時代は賞金がもらえなかったと誤解している人も多いようだが、実はそうではない。2018年にボストンで優勝した時には1650万円の賞金を獲得している。
彼がもらえなかったのは、出場料である。あくまで推測である、という前提で話をすると、川内の出場料は1レース数十万円だと思われる。仮に50万円だとした場合、年間20レースに出場するのなら、単純計算で1000万円が公務員時代より増えることになる。
それ以外に講演や陸上教室での収入も増えるし、スポンサーからの収入ももらえる。もちろん、公務員時代の給料はなくなるし、あらゆるリスクを背負うことになるが、収入は増えているはずである。
昨年までは日本新で1億円も今は資金が枯渇
記憶に新しいが、マラソンで日本記録を出すと1億円をもらえる時期があった。
日本陸連ではなく、実業団チームを束ねる日本実業団陸上競技連合が東京五輪への強化と、停滞するマラソン界を刺激するために実業団から資金を集めて2015年7月に創設。男子では2018年に設楽悠太と大迫傑、20年に大迫が日本記録を更新して1億円を手に入れたが、資金が枯渇したため、2020年3月を最後にこの制度は終了した。
2021年2月28日のびわ湖毎日マラソンで日本新を出した鈴木健吾（富士通）は、1年の差で1億円を逃したことになる。
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