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卓球パリ五輪代表、幼なじみ対決は平野美宇が悲願のシングルス切符、伊藤美誠は団体3枠目?

2024 1/29 11:00堺俊輔
平野美宇,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

明暗くっきり…平野美宇「人間的にも大人になれた」

幼なじみの2人による卓球女子シングルスのパリ五輪代表争いは、事実上残り1枠を僅差で争った23歳の平野美宇(木下グループ)と、卓球王国・中国から「大魔王」の異名で恐れられた伊藤美誠(スターツ)が明暗を分けた。

約2年に及んだ五輪男女各2枠の選考レースは男子の張本智和(智和企画)と戸上隼輔(明大)、女子の早田ひな(日本生命)と平野美宇が代表入りをつかみ、過酷なドラマが決着した。

ともに「天才少女」と呼ばれ「みうみま」ペアで世界ツアー、ドイツオープン女子ダブルス優勝経験もある2人。1月26日、代表選考の最終対象大会となった全日本選手権(東京体育館)ではシングルス6回戦で伊藤美誠が木村香純(トップ名古屋)に3-4でまさかの逆転負けを喫し、準々決勝に進出した平野美宇が自身初のシングルス五輪代表を確実にした。

2016年リオデジャネイロ五輪は補欠としてチームに帯同。2021年東京五輪は選考レースで終盤まで圏内2番手につけていたものの、最後に石川佳純に逆転され、シングルス代表を逃した苦い経験があった。

7年ぶりの全日本女王には届かなかったが、日本協会の公式会見動画によると「東京の時はしんどくて、苦しくて卓球から逃げたかった。でも今回は逃げずに戦えた。そこは成長できた。この2年で人間的にも大人になれた」と晴れやかな笑顔で喜びを語った。

「ハリケーン」の異名、パリ五輪は打倒中国目標

平野美宇が自身の殻を破り、一世を風靡した大会と言えば、2017年アジア選手権だった。

前年のリオ五輪は補欠でチームに帯同し、同世代のライバル伊藤美誠が団体戦の銅メダル獲得に貢献する姿を見守った。

そこから奮起し、アジア選手権では圧倒的な「高速卓球」で女子シングルスの世界ランキング1、2、5位の中国選手を立て続けに破り、日本勢として21年ぶりに優勝。「ハリケーン・ヒラノ」の異名も誕生し、王国の牙城を脅かす危険な選手として認識された。

東京五輪ではシングルス代表から落選したが、団体要員の3枠目で代表入りし、団体銀メダルに貢献。パリ五輪に向け「次はパリで中国選手に勝ってメダルを取らないと面白くない。まずはシングルスでメダルを取りたい。団体にも出場できる。そこでもメダル。やっぱり中国選手に五輪の舞台で勝ちたい」と意欲を燃やす。

高速卓球だけでなくラリー力や戦術眼も磨きを掛け「諦めずに根性でやれば目標や夢は叶う」と目を輝かせた。

伊藤美誠は落選に涙も団体戦3枠目入りの可能性

一方、東京五輪で金、銀、銅と計3個のメダルを獲得した伊藤美誠は2大会連続の五輪シングルス代表に届かず、試合後は悔し涙に暮れた。

2年近い選考レースでは腰痛にも苦しみ、万全とは言えない不完全燃焼。日本協会がパリ五輪に向けて定めたシングルス代表の選考基準にTリーグの成績が反映される仕組みとなり、2022~2023年シーズンからTリーグに初参戦したが、国内外の過酷な日程にも苦しんだ。

パリ五輪代表3枠目を巡って日本協会は「団体戦でシングルス及びダブルスにて活躍が期待できる選手1名を強化本部が決定する」と明記しており、シングルス代表とのダブルスの相性も考慮し、総合的に判断される。

伊藤美誠はかつてスウェーデン・オープンで中国の劉詩雯、丁寧、朱雨玲のトップ選手3人を立て続けに破って優勝すると、中国メディアから「大魔王が現れた。彼女の実力は超一流だ」と報じられた時期も。実力は折り紙付きで誰もが認めるところ。本人の意向にもよるが、パリ五輪の団体要員の3枠目入りの可能性はまだ残っている。

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