最大勢力は日大、続く近大、東洋大
大相撲で大卒出身力士が増えている。1月場所で大関昇進を決めた御嶽海を含め、朝乃山、正代と直近の大関昇進者は3人続けて大学相撲出身力士となった。昭和の時代から大学相撲出身の力士は少なからずいたが、平成に入りその数を増やし、1月場所は幕内42人中16人、十両28人中13人が大学相撲部出身者となっている(中退は含めず)。
そんな中、一大勢力を築いているのが日本大学出身力士。歴代でも66人が入門し、現役関取も10人が日本大学出身だ。
続いて近畿大学と東洋大学が4人となっている(近畿大学中退の翠富士と錦富士は含めず)。日本大学出身には大学出身として唯一の横綱である輪島がおり、近畿大学は大関朝潮や朝乃山を輩出している名門だ。古くは初代豊山、そして現役大関の正代の出身校でもある東京農業大学も古豪と言えよう。
それに対し、東洋大学は最初の入門者が平成10年入門の玉光国で最高位は十両。東洋大学出身の第1号三役力士は御嶽海で、近年になって大相撲で実績を残す力士が出てきた新鋭校と言える。
その御嶽海の東洋大の2年後輩にあたるのが若隆景だ。十両にも朝乃若、東白龍と期待できる力士がおり、深井は十両を狙える地位まで番付を上げてきている。
近年出身者が目立つようになった大学と言えば、中央大学もそうだろう。中央大学出身は終戦直後からいたが、関取となると平成5年入門の武哲山が最初。三役昇進者だと大関出島や関脇豪風で比較的近年の力士だ。現役関取には一山本と矢後の2人がおり、幕下上位では菅野と西川が十両の座をうかがっている。
勢力拡大中の日体大、古豪復活期待の明大、拓大
相撲経験がない大学卒業力士まで出てくる現代の大相撲においては、学歴が生きる社会ではないにもかかわらず大学出身力士が増えているのが実情だ。約40年前の昭和50年代の10年間は、大学を卒業して入門した力士は13人しかいなかったが、近年は毎年何人もの大学出身者が入門してくるようになった。
入門者の数は日本大学出身者が圧倒的に多いが、勢力図は変わりつつある。新鋭校の1つに挙げられるのが日本体育大学だろう。大学としての歴史はあるが、相撲においては平成時代に入ってから実績を残した大学だ。
現在は北勝富士、妙義龍、千代大龍が関取として活躍しているが、日本体育大学出身者として最初の関取は平成13年入門の垣添で、日本体育大学からの入門者としても3人目だった。これが平成中期の話なのだから、やはり新鋭といっていいだろう。
半面、かつては強豪力士を輩出したものの、現在は関取どころか力士すら希少になった大学もある。その1つに挙げられるのが明治大学だ。昭和後期から平成初期にかけては関脇栃乃和歌や小結栃乃花らがいたが、現在は明治大学出身の関取はいない。
余談になるが、三代目若乃花は付属高校である明大付属中野高校中退、貴乃花は明大付属中野中学の卒業生だ。明大付属中学から明治大学に進学し力士になった東桜山は幕下上位まで番付を上げたが惜しくも関取にはなれず、平成11年入門の東桜山以降は関取が生まれていない。
ただ、序の口から21連勝デビューを果たした現役唯一の明治大学出身の藤青雲が幕下上位まで番付を上げてきており、古豪復活への期待がかかる。
拓殖大学も古くは関脇舛田山、平成以降では栃乃洋と高立の2人だけだが、こちらも鳩岡が長く幕下で上位をうかがい、藤闘志と勝呂の兄弟が入門して期待をかけられている。こちらも古豪復活なるか注目だ。
宇良は関学大出身、炎鵬は金沢学院大出身
言うまでもなく、大学相撲で実績を残した大学出身だからといって大相撲の世界で活躍できるわけではないし、その逆もある。
宇良の出身校である関西学院大学は昭和10年、20年代には学生横綱を出していたが、関西学院大学から大相撲の道に進んだのは宇良1人で、現在も決して大学相撲では強豪校ではない。
九州情報大学出身の東龍や金沢学院大学出身の炎鵬といった比較的新設校とされる大学出身力士もいる。
大学出身力士が増えている現在、どの力士がどの大学を出ているかというだけでなく、その過去にその大学出身者にはどのような力士がいたのか、昔はどこの大学出身者がいたのか。こんなところにも目を向けてみてはいかがだろうか。
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