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大相撲の出身地別優勝回数、賜杯から遠ざかっている都道府県は?

2022 4/11 06:00横尾誠
イメージ画像,ⒸJ.Henning Buchholz/Shutterstock.com
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ⒸJ.Henning Buchholz/Shutterstock.com

春場所優勝の若隆景は50年ぶり福島県出身

大相撲春場所で初優勝した若隆景は、先代栃東以来50年ぶりの福島県出身力士の優勝として話題になった。

大相撲の世界は「江戸の大関より故郷(クニ)の三段目」という言葉もあるように、郷土との結びつきが強いのが特徴だ。なにせ、力士が土俵に上がる際に、力士の四股名だけでなく、出身地まで読み上げられるくらいだ。

振り返ると、現大関の御嶽海は平成30年7月場所で長野県出身初の優勝、正代は令和2年9月場所で熊本県出身初の優勝を果たした。大関ではないが、大栄翔が昨年1月場所で埼玉県出身初の優勝。朝乃山の優勝は太刀山以来107年ぶり富山県出身力士の優勝だった。

最近はその県から初めて優勝した力士や久しぶりの優勝が目立っている。ちなみに御嶽海以前で初めて優勝者を出した県は平成3年9月、群馬県出身初優勝となった琴錦まで遡ることになるので、いかに最近は初優勝を出した県が多いかが分かる。

最多優勝の北海道は北勝海以来31年遠ざかる

明治42年の優勝制度創設以来で見ていくと、優勝が最も多いのが北海道で120回。俗に昭和戦後三代横綱と言われる、大鵬・北の湖・千代の富士はそろって北海道出身だ。そのほか、北の富士、北勝海、大乃国の横綱もいる。北海道出身初の優勝は昭和24年10月場所の千代の山なので、戦後勢力を伸ばした県といっていいだろう。

だが、北海道出身力士の優勝は平成3年3月の北勝海が最後で、そこから31年途絶えてしまっている。現在は一山本が幕内に定着しつつあるが、まだ優勝を狙うところには至らず、北海道の復活が待たれる。

2位は東京都で48回、3位が青森県で37回となっている。東京都は貴乃花の22回が最も多く、次いで栃錦の10回。青森県は初代若乃花が10回で最も多い。青森県出身は1人で多く優勝した力士はいないものの10人の優勝者を出しており、優勝人数は北海道に次ぐ多さだ。

なお、外国1国を1県と同じ扱いとすると、モンゴルが93回の優勝をしており、北海道の次に来る。モンゴル出身で優勝回数が多いのは45回の白鵬。白鵬1人で歴代の東京都出身者の優勝回数と大差ない回数の優勝を果たしたことになる。

大相撲の都道府県別優勝回数上位

最長ブランクは大正14年1月が最後の栃木県

優勝者を出したことがない県は宮城・福井・岐阜・静岡・滋賀・京都・和歌山・島根・徳島・宮崎・沖縄の11県だ。3月場所の関取でこの11県出身者は静岡県の翠富士と熱海富士、島根県の隠岐の海、宮崎県の琴恵光、沖縄県の美ノ海といるが、各県からの初優勝者となれるだろうか。

優勝から遠ざかっている県を見ると、大正14年1月の栃木山が直近となる栃木県が最も遠ざかっている。現在栃木県出身の関取はおらず、まだこの記録は伸びそうだ。

以下、岩手県、岡山県、佐賀県と続く。いずれも直近の優勝は戦前だ。岩手県出身には幕内の錦木がいるが、錦木が優勝すれば94年ぶりとなり、岩手県は大いに盛り上がるだろう。

大相撲で優勝から遠ざかっている県


北海道のように優勝回数を積み上げるには複数の力士が優勝を重ねないと達成できないが、1回の優勝なら幕内力士がいれば可能性はある。御嶽海は長野県出身というのがアイデンティティになっているくらいだが、御嶽海が出てくるまでは長野県はどちらかといえば力士不毛の県だった。

それ故に、御嶽海は長野県出身として江戸時代の雷電為右衛門以来という記録が大きな話題になった。1人の強い力士が出てくれば、未だ優勝者を出していない県にもチャンスが訪れる可能性はある。

近いうちにまた初優勝者の県が話題になるか、あるいは何十年ぶりという長いブランクを経ての優勝者が出るか。長い歴史を誇る大相撲だからこそ、こんなところにも注目してみたい。

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