両横綱に衰え、貴景勝は初場所で綱獲り狙う
白鵬、鶴竜の両横綱に衰えが見え始め、群雄割拠となっている大相撲。日本国籍未取得が引退の足枷になっていると言われていた鶴竜もようやく取得できたため、親方として日本相撲協会に残る資格を得た。来年はいよいよ新旧交代、令和初の新横綱誕生の期待も膨らむ。
現在の角界の状況は、どこか戦国時代に似ていないだろうか。両横綱を没落寸前の室町幕府とすれば、各地の武将が虎視眈々と天下獲りならぬ綱獲りを狙う。11月場所で優勝し、横綱に最も近い位置にいる貴景勝は、さながら織田信長といったところか。
貴景勝は平成30年11月場所で初優勝して大関昇進したものの、ケガのため2場所連続で負け越して関脇に陥落。令和元年9月場所で12勝を挙げて大関に復帰した。
今年の9月場所で12勝、11月場所で13勝を挙げており、来年初場所で優勝すれば文句なし、優勝を逃しても13勝なら直前3場所で合計38勝となり、横綱に大きく近付くだろう。
秀吉は序二段から駆け上がる照ノ富士?
貴景勝が信長とすると、豊臣秀吉は照ノ富士だろうか。大関からケガのため序二段まで落ちて引退も考えたが、一念発起して番付を駆け上がる照ノ富士の姿は、貧しい百姓の子から天下人にまで上り詰めた秀吉と重なる。
照ノ富士が序二段で相撲をとったのは平成31年3月場所だから、まだ2年も経っていない。今年の7月場所では自身30場所ぶり2回目の賜杯となる幕尻優勝を果たし、11月場所では千秋楽の本割で貴景勝を破って13勝2敗と堂々の成績。貴景勝との優勝決定戦には敗れたが、来年初場所では関脇に上がると見られ、いよいよ大関復帰が現実味を帯びてきた。
家康は朝乃山か正代
となると、徳川家康は朝乃山か、正代の両大関ということになるだろう。2人とも11月場所で休場したため来年初場所はカド番となるが、状態が万全なら強い力士だ。
朝乃山は前頭8枚目だった昨年5月場所で12勝を挙げて初優勝。その後も順調に番付を上げ、今年3月場所後に大関昇進した。
一方の正代も関脇だった今年9月場所で13勝を挙げて初優勝。場所後に大関昇進したばかりだ。
朝乃山は26歳、正代は29歳と若くはないが、2人とも物腰が柔らかく、ホトトギスが鳴くまで待つタイプに見えなくもない。
明智光秀は貴景勝と同部屋の隆の勝か
では、放送中のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」でも描かれている明智光秀は誰だろう。天下統一を目指す信長の腹心でありながら謀反を起こし、日本史に名を残した武将だ。
信長が貴景勝とすると、同じ常盤山部屋の隆の勝が当てはまる。今年3月場所では12勝で敢闘賞を受賞し、初めて関脇に上がった11月場所でも8勝7敗と勝ち越した伸び盛りの力士だ。
来年、「本能寺の変」が起こるなら、隆の勝が優勝決定戦で貴景勝の優勝を止めて初優勝…。そんな妄想もしてみたくなる。
いずれにせよ、角界の新旧交代が目前に迫っていることは確か。天下を獲るのはどの力士か。令和3年の大相撲から目が離せない。
【関連記事】
・大相撲平成最強大関は?3つの条件から検証
・徳勝龍が初優勝し、豪栄道が引退…新旧交代進む大相撲
・番付表から大相撲の階級を知ろう