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徳勝龍が初優勝し、豪栄道が引退…新旧交代進む大相撲

2020 1/29 06:00SPAIA編集部
イメージ画像ⒸYuka Tokano/Shutterstock.com
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ⒸYuka Tokano/Shutterstock.com

「花のロクイチ組」明暗

大相撲の「新旧交代」が加速してきた。初場所は前頭17枚目の徳勝龍が14勝1敗で初優勝。幕尻での優勝は2000年春場所の貴闘力以来20年ぶりだった。

逆に初場所で5勝10敗と負け越した大関・豪栄道は引退を表明。2019年九州場所で2敗13休と負け越し、9度目のカド番となった初場所もケガの影響から往年の力を発揮できず、関脇陥落が決まっていた。春場所で10勝以上挙げれば大関に復帰できるが、現役続行は断念し、今後は年寄「武隈」として後進の指導にあたる。

徳勝龍と豪栄道は共通点が多い。互いに「花のロクイチ組」と呼ばれる1986年(昭和61年)度生まれで、他にも妙義龍や碧山、勢、元横綱稀勢の里(現荒磯親方)らと同世代。また出身も同じ関西で、徳勝龍は奈良県出身力士として1922年春場所の鶴ケ浜以来98年ぶりの優勝、大阪出身の豪栄道は1923年に引退した大錦以来となる大阪出身の横綱を期待されていたが土俵を去ることになり、明暗がクッキリと分かれた。

2018年以降、関脇以下の優勝が7回も

徳勝龍が33歳5カ月でつかんだ初めての賜杯は、年6場所制となった1958年以降では旭天鵬、玉鷲に次ぐ史上3位の高齢初優勝だけに「世代交代」というフレーズは使いづらいが、「新旧交代」を印象付けたことは間違いない。

最近は43回の優勝を誇る白鵬の衰えが目立つと同時に、新興勢力の台頭が著しい。2018年初場所以降の13場所で、白鵬、鶴竜の両横綱の優勝は6回しかなく、関脇以下の力士の優勝が7回もある。後に大関に上がった栃ノ心や貴景勝、関脇だった御嶽海や玉鷲、そして平幕の朝乃山に徳勝龍と多士済々だ。

最近の大相撲優勝力士


初場所は13勝2敗で最後まで優勝を争った正代や序盤戦で両横綱を破った遠藤、小兵ながらダイナミックな技で人気の炎鵬らも力をつけている。

NHKの大相撲中継も高視聴率をマークした。千秋楽で徳勝龍が貴景勝を破った結びの一番の瞬間最高視聴率は関東地区で25.2%、関西地区で25.9%を記録。新鮮な顔ぶれの優勝争いに世間の関心も高まっている。

春場所は2横綱1大関

引退を決めた豪栄道は埼玉栄高で高校横綱に輝き、2005年初場所で初土俵。2007年秋場所で新入幕を果たし、2014年秋場所から大関昇進すると、2016年秋場所では全勝優勝した。大関在位33場所は史上10位、通算696勝493敗66休という成績だった。

これで3月に大阪で行われる春場所は大関が貴景勝しかおらず、琴風だけだった1982年初場所以来38年ぶりの1大関となる。わずか3年前、2017年名古屋場所と秋場所は4横綱3大関(白鵬、日馬富士、鶴竜、稀勢の里、照ノ富士、豪栄道、高安)と上位陣が豪華だっただけに、来場所の2横綱1大関は時代の変遷を感じさせる。

新旧交代の大きな波はまだまだ止まらないだろう。次の横綱候補は出現するか。目まぐるしい出世レースから当面、目が離せない。