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大相撲平成最強大関は?3つの条件から検証 

2019 4/29 07:00柴田雅人
相撲,ⒸShutterstock.com
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平成の大関は16人

先の大相撲春場所(大阪・エディオンアリーナ大阪)で貴景勝が掴み、栃ノ心が手放した大関の座。貴景勝は大関として土俵に上がっていないため、平成に誕生した大関は16人(横綱昇進力士は除く)となり、土俵を彩った。

最初の霧島(1990年夏場所)から最後の栃ノ心(2018年名古屋場所)まで、多士済々な顔ぶれとなっている平成の大関陣。その中で最も強い力士は一体誰なのか。今回は16人の成績をそれぞれ比較し、どの力士が「平成最強大関」なのかを検証していきたい。

“最強”の判断基準は?

今回“最強”を判断するに当たり、基準としたのが「2ケタ勝利回数」、「12勝以上の回数」、「優勝回数」の3つ。その理由について、それぞれ順を追って解説していく。

基準1:2ケタ勝利回数
昇進に厳しい条件が課されている大関には、当然昇進後もそれ相応の成績が求められる。カド番となる負け越しはもちろん、「クンロク」(9勝6敗)や「ハチナナ」(8勝7敗)といった1ケタ勝利での勝ち越しも落第点とされる傾向が強い。

となると、大関の成績として及第点となり得るのは2ケタ勝利。また、安定感を評価する上では、その数は多ければ多いほどいい。そのため、在位中に2ケタ勝利を記録した回数を、まずは1つ目の基準とした。

基準2:12勝以上の回数
強い大関に必要なのは、何も安定感ばかりではない。横綱に次ぐ角界ナンバー2として、時には優勝争いに絡むような爆発力が求められる。

平成時代に賜杯を掲げた力士の平均成績は約13.6勝。優勝に必要な勝利数がおおむね13勝以上であるということから、そこから1つ数字を引いた12勝以上を優勝争いに相当する好成績と位置付けたい。

基準3:優勝回数
例え優勝争いに絡めたとしても、そこから実際に優勝までたどり着けるかはまた別の話。現に、平成の全181場所における大関の優勝は44回(約24.3%)にとどまっており、今回の対象16人に絞ると16回(約8.8%)とその数字はさらに減少する。難易度の高さを考えると、優勝回数を条件に加えないわけにはいかないだろう。

以上に挙げた3つの事柄1回につき、基準1=1点、基準2=2点、基準3=3点を付与。その総合得点の合計が最も高い力士を、平成最強大関に認定したい。

栄えある1位に輝いたのは…

それでは、早速各力士の順位表を見ていこう。まずは11位以下の力士から。

大関11-16位表,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

6人全員が優勝を果たすことができず、12勝以上を挙げた経験があるのも半分の3人のみ。大関として結果を出すことが簡単ではないことがはっきりと浮かび上がっている。

また、栃ノ心、雅山の両名に関してはまさかの無得点。前者が5場所(ワースト1位タイ)、後者が8場所(ワースト4位)の在位に終わったのも、致し方ないといえるのかもしれない。

続いて、ここからトップ10圏内の6位~10位まで。

大関6-10位表,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

2016年秋場所でカド番からの全勝優勝(史上初)を成し遂げた豪栄道をはじめ、5人中4人が在位中にそれぞれ1回の優勝を経験。また、唯一優勝経験が無い高安も、これまでに優勝次点を3回記録している。どの力士も、大関としては及第点の働きができているといえるのではなかろうか。

最後に、注目の1位~5位。

大関1-5位表,ⒸSPAIA

ⒸSPAIA

上記を見ても分かる通り、実力派の大関が多数登場しているトップ5。全員が2ケタを10回以上クリアし、琴欧洲を除く上位4人は12勝以上、優勝も複数回以上重ねている。

そうそうたる顔ぶれの中で、見事栄えある1位に輝いたのは魁皇。千代大海と並んで史上1位の大関在位65場所、通算勝利数は史上2位の1047勝を挙げた名大関が、それぞれの基準で全体2位、全体2位、全体1位となる好成績を叩きだし、2位以下の力士に大差をつけた。

以上の検証から、平成最強大関に輝いたのは魁皇という結果になった。間もなく迎える令和の大相撲では、果たして誰が最強の名を冠することになるのだろうか。