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朝乃山に「新大関のジンクス」は?意外に苦しむ大関初場所

2020 7/12 06:00SPAIA編集部
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平成以降の新大関は平均8.5勝

大相撲7月場所は19日に初日を迎える。注目は無観客で行われた3月場所で11勝を挙げ、大関に昇進した朝乃山だ。

5月場所や巡業が中止され、朝乃山としてはぶっつけ本番で迎える大関初場所。横綱・白鵬が35歳、鶴竜が34歳と高齢化しており、26歳の新大関にかかる期待は大きい。さらに上を狙うためにも、7月場所で大関として好スタートを切りたいところだろう。

10勝、11勝、10勝、11勝と直近4場所連続で2桁勝つ安定した取り口を誇る朝乃山だが、過去の新大関は昇進初場所で苦戦した例が多い。平成以降に大関昇進した力士の成績は表の通り。

※公開時点で「貴ノ浪が新大関優勝した」とする誤った表記が行われていることが判明し、記事本文にも同様の誤りがあること判明しました。12日22時28分時点で訂正を行いました。

平成以降の新大関成績





後に横綱に昇進した力士も含めて26人いるが、平均勝ち星は8.5勝。全休を含めて負け越しも5人いるのだ。

大関昇進の目安は直近3場所で合計33勝とされており、安定して2桁勝つ力が求められる。その目安をクリアしたにもかかわらず、平均8.5勝しか挙げられていないのは新大関としてのプレッシャーやケガ、昇進祝いが続いたことによるコンディション不良など、様々な要因が考えられる。

プロ野球界では新人時代に活躍した選手が2年目に苦しむ例が多く「2年目のジンクス」と言われるが、「新大関のジンクス」と言ってもいいほどの成績だ。特に最近は照ノ富士、高安、栃ノ心、貴景勝がその後、大関から陥落している(貴景勝は大関復帰)。ケガで致し方ない面もあるとはいえ、朝乃山にとっては嫌なデータだろう。

今年は新型コロナの影響で稽古さえままならない日々が続いただけに、朝乃山がどこまで状態を上げられるかがカギになりそうだ。

新大関で優勝は2人、後の横綱は勝ち越し

大関昇進初場所で優勝したのは平成18年5月場所の白鵬(14勝1敗)、平成14年1月場所の栃東(13勝2敗)の2人。貴ノ浪は平成6年3月場所で12勝3敗で優勝同点に名を連ねたものの優勝は逃している。

また、後に横綱昇進した力士は、鶴竜(8勝7敗)、稀勢の里(11勝4敗)、日馬富士(8勝7敗)、白鵬、朝青龍(10勝5敗)、武蔵丸(9勝6敗)、若ノ花(9勝6敗)、貴ノ花(11勝4敗)と、全休だった曙を除いて勝ち越している。朝乃山にとっては、横綱を狙う意味でも勝ち越しは最低条件と言えそうだ。

2018年は優勝力士が5人(鶴竜2、栃ノ心、御嶽海、白鵬、貴景勝)、2019年も5人(白鵬2、玉鷲、朝乃山、鶴竜、御嶽海)、2019年初場所は徳勝龍が幕尻優勝を果たすなど、以前のような「白鵬1強時代」は終わり、角界は戦国時代を迎えている。朝乃山は令和を担う新しいスターになれるか。真価を問われるのはこれからだ。

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