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中村俊輔、大島僚太、清武弘嗣らJ1の「10番」17人の選ばれし者たち

2021 2/6 11:00小林智明
中村俊輔Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

プロ4チームで10番を任せられた中村俊輔

サッカーのエースナンバーと言えば「10」。ペレ、ディエゴ・マラドーナらが背負った時代に比べるとオーラをまとうファンタジスタは減ったが、今でも“選ばれし者だけが付けられる称号”の意味合いが強い番号だろう。

そこで、今季J1各チームの背番号10を付けるプレーヤーのみをピックアップ。データを交えて“選ばれし者”たちの傾向を探りたい。

J1の20チーム中、背番号10が在籍するのは17チーム。ベガルタ仙台、鹿島アントラーズ、ヴィッセル神戸の3チームには不在だ。

ベガルタは2006年から14年連続で着用した梁勇基が昨季サガン鳥栖に移籍後、後任がいない。アントラーズは18年に金崎夢生(名古屋グランパス)、19年に安部裕葵(バルセロナB)と10番をつないだが、昨季から空席に。ヴィッセルも17年から3年間ルーカス・ポドルスキー(トルコ・アンタルヤスポル)がまとったあと、不在のまま2季目に突入する。

2021年J1各クラブの背番号10


今季新たに背番号10のユニフォームに袖を通す選手は、横浜F・マリノスのマルコス・ジュニオール、横浜FCの中村俊輔、サガン鳥栖の樋口雄太の3人。19年J1得点王のマルコス・ジュニオールは、かつて中村が7年間着けた“トリコロールの10”の後継者になる。

中村が愛着ある番号で戦うのはF・マリノス、レッジーナ(イタリア)、ジュビロ磐田の所属時代に続き、2季ぶり計14年目。樋口は地元・佐賀出身でU-18までサガンのアカデミーでプレーし、鹿屋体育大を経て、プロ3年目を迎える若き副キャプテンだ。

“スペシャルな10番”マルコス・ジュニオール

背番号10の選手をポジション別に振り分けてみたい。選手によっては複数のポジションをこなす選手もいるが、昨年出場したポジションを基に分別してみた。

ボランチは北海道コンサドーレ札幌の宮澤裕樹が該当する。FWは清水エスパルスのカルリーニョス・ジュニオと、昨季は前線での出場が多かったユーティリティープレーヤー、城後寿(アビスパ福岡)の2人だけと少ない。そして残りはオフェンシブハーフの選手たち14人が占める。

さらに、この14人をいわゆる「司令塔」のゲームメーカータイプと、パスの受け手になる機会が多く、自らゴールも目指すアタッカータイプに分けてみたい。前者は柏木陽介(浦和レッズ)、大島僚太(川崎フロンターレ)、中村、山田直輝(湘南)、倉田秋(ガンバ大阪)、清武弘嗣(セレッソ大阪)、森島司(サンフレッチェ広島)の7人。

後者は江坂任(柏レイソル)、東慶悟(FC東京)、マルコス・ジュニオール、ガブリエル・シャビエル(名古屋グランパス)、渡井理己(ヴェルティス徳島)、樋口、野村直輝(大分トリニータ)と、それぞれ7人ずつに分けてみた。

しかし、筆者の主観が入るため、選手によってはタイプの選択に迷う。その最たる選手がマルコス・ジュニオールだった。来日2年でリーグ戦計26得点を稼いだブラジリアンは、トップ下のポジションで、チャンスメイクの役割も担う攻撃のマルチロール。得点力がありながら、周囲のアタッカーも生かせるスペシャルな選手だと言えるだろう。

城後寿と宮澤裕樹の10番は重みが違う

「年齢」についても触れよう。ここに挙げた17人の平均年齢は29.2歳とやや高め。最年長はご存じ、日本サッカー界のレジェンド中村の42歳で、34歳の城後、33歳の柏木、31歳の宮澤がそれに続く。逆に最年少はヴォルティスのドリブラー渡井の21歳で、23歳の森島、24歳の樋口という順になる。

最後に10番の連続着用年数を見ると、08年から背負い、J1・J2を含めると今季で14年目を迎える城後が最長になる。同じくJ1・J2の両舞台でエースナンバーを付け続け、12年目に入る宮澤が2位に。

2人とも地元出身選手でチーム一筋、城後自身4度もJ2から這い上がり、宮沢もJ2降格を2度経験した過去を持つ。お互いに酸いも甘いも噛み分けてきたバンディエラと呼ばれる存在。今季J1で年々、重厚感を高めるアビスパ&コンサドーレのNo.10を見届けたい。

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