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サッカー日本代表、カタールW杯ドイツ戦は勝ち点1獲得に徹するべき

2022 8/19 06:00桜井恒ニ
ドイツ代表FWトーマス・ミュラー,Ⓒゲッティイメージズ
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Ⓒゲッティイメージズ

ドイツは本気で挑んでくる

サッカー日本代表は9月下旬のアメリカ、エクアドルとの2連戦を経て、11月にカタールW杯本戦を迎える。まずは同23日のグループE・第1節(ドーハ)で強豪のドイツ代表と激突する。

ドイツは2000年代以降、準優勝(2002年・日韓大会)、3位(2006年・ドイツ大会)、3位(2010年・南アフリカ大会)と上位進出し、2014年のブラジル大会では優勝を果たした。しかし、2018年のロシア大会は1勝2敗でグループリーグ敗退。辛酸を嘗める結果となった。雪辱に燃えるドイツは、並々ならぬ思いでカタール大会に挑んでくるだろう。

チームを率いるのはハンジ・フリック監督。2019-2020年シーズンにはバイエルン・ミュンヘンを指揮し、リーグ優勝はもちろん、チャンピオンズリーグ(CL)では優勝まで11戦無敗を果たす。そのほか、DFBポカールやクラブW杯も制し、年間6冠の最強チームを築いた。

圧巻だったのは、2020年8月に行われたCL準々決勝のバルセロナ戦。当時リオネル・メッシやルイス・スアレスを擁したスペインの名門と対峙し、8-2の大勝劇を演じて世界を驚かせた。その後、2021年5月にドイツの監督に就任。ドイツをカタール大会本戦に導き、11月に日本との対戦を迎える。

開始15分内の失点に注意

サッカーにおいて、ドイツ代表は勝負が決した試合でも手を緩めることはない。過去にドイツ大会では、ブラジルを相手に“ミネイロンの惨劇”とも呼ばれる7-1の大勝劇も演じている。

現代表のレロイ・サネ、セルジュ・ニャブリ、トーマス・ミュラー、ヨシュア・キミッヒ、レオン・ゴレツカ(左膝の怪我から9月に復帰する見込み)らを擁するバイエルンは今シーズンも順調な滑り出しを見せており、8月6日のブンデスリーガ第1節のフランクフルト戦では6-1で圧勝。良くも悪くも手を抜かず、チャンスと見れば完膚なきまでに相手を打ちのめす。

ドイツはほぼ全ポジションにCL常連チームの主力選手や、それに匹敵する実力者を配置する。主に4-2-3-1のフォーメーションを展開し、ミュラーを中心とした攻撃陣は破壊力抜群。6月15日にはネーションズリーグでイタリアと対戦し、5-2で粉砕した。

優秀な監督と優秀な選手が揃うドイツは、FIFAランキングこそ11位だが、ランキング上位の国に並ぶ完成度を誇り、カタール大会では優勝候補の一角だ。

ボランチのキミッヒやイルカイ・ギュンドアンより前の選手は、全員警戒が必要。おまけにドイツの選手たちは、初戦ということでモチベーションも高く、体調も万全の状態で日本に襲いかかるだろう。

特に開始15分以内の失点に注意が必要だ。2列目(あるいは1.5列目)から飛び出すミュラーが縦横無尽に動いて乗ってくると手がつけられず、バイエルン同様、ドイツが大量得点する流れになりかねない。加えてフリック監督が信奉し、バイエルンで実践した「ゲーゲンプレッシング」が日本相手にがっちりハマれば、カウンターでの攻撃に転じることもままならず、ひたすら日本陣内での戦いを強いられる可能性もある。

森保采配も心配の種?

もう一つ心配なのが、森保一監督の采配だ。前半を終えた時点で、ドイツの戦いに応じた修正ができればまだ一縷の望みがあるかもしれない。

しかし、これまでの日本の戦いぶりを見ると、森保監督は相手の戦いに応じた戦略もアイデアも乏しいと言わざるをえない。名将の域に達しようとしているフリック監督(今大会で優勝すればその称号を得るだろう)には、生半可な対応では太刀打ちできない。後半に入ってもドイツの容赦ない攻撃が続き、日本選手のモチベーションとスタミナが低下すれば、さらに失点する……という最悪のシナリオも想定される。

日本はドイツ相手に引き分けて勝ち点1をとれれば御の字だろう。自陣での集中砲火も予測されるため、冨安健洋や酒井宏樹、伊藤洋輝、板倉滉、谷口彰悟など長身でフィジカルを兼ね備えたメンバーを揃えて5バックでガチガチに固めたいところ。そして90分間、ゴール前での集中力を切らさないプレイが必要だ。プレイの判断やボール処理に陰りが見える吉田麻也はベンチスタートがベターかも知れない。

攻撃は下手に中盤を経由したポゼッションで推し進めようとするとゲーゲンプレッシングの餌食になりかねない。ボランチでリズムを作って……という攻め方は危険だ。中盤の先発は守備を重視して遠藤航・田中碧・守田英正の3ボランチ体制が妥当か。

その上で、なるべく中盤を省略して伊東純也、古橋亨梧、浅野拓磨、前田大然らのスピードに賭けて、一発カウンターでゴールを狙うしかないのではないか。

日本はこれまで、W杯初戦で負けると波に乗れずグループリーグで敗退してきた歴史がある。今回のドイツ戦は、1-3で負けたドイツ大会のオーストラリア戦、1-2で負けたブラジル大会のコートジボワール戦を上回る完敗、大敗を喫する可能性も低くない。第2戦のコスタリカ戦に向けて、尾を引かない戦い方が望まれる。

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