「不要」から「必要」へ、さらに…
2019年6月9日の『DOMINION 6.9 in OSAKA-JO HALL』で、IWGPインターコンチネンタル(IC)王座戦に臨んだ内藤哲也。王者・飯伏幸太との激闘を制した前王者は、再び白いベルトを手中に収めた。
内藤と飯伏の対戦は、3月の『NEW JAPAN CUP』、4月の『G1 SUPERCARD』に続き今回が3回目。内藤は直近2試合で連敗を喫していたが、今回は“三度目の正直”とばかりに難敵を下し雪辱を果たすことに成功した。
以前IC王者に就いていた時は度々ベルトを無下に扱うばかりか、「役目は終わった」として封印まで口にしていた内藤。しかし、今回は試合後に「今現在、一番欲しいベルトであったことは間違いない」とコメントするなど、あの時とは一転した態度をとっている。
“不要”な存在であったベルトが“必要”となった背景には、過去に誰も成し遂げていないIWGPヘビー級王座との二冠という目標がある。ここでまずはIC王座を確保しなければ、今年に入って表明したこの野望が夢物語で終わってしまうという危機感も少なからず抱いていたのだろう。
撃破した飯伏にリマッチの可能性を提示しつつ、「この後の『G1 CLIMAX』で優勝すれば誰にも文句言われずに挑戦権が得られる」と今後を見据えた内藤。今年で29回目となる真夏の祭典は、彼にとって非常に大きな意味合いを持つ大会となることは間違いない。
二冠ロードを突き進むためには?
ここからIWGPヘビー級を狙うに当たっては、間近に控える『G1CLIMAX』で「優勝する」、「現王者を撃破する」、「優勝者に与えられる挑戦権利証を奪う」といった方法が考えられる。以前にもSPAIAで二冠ロードの話は触れたが、現実味を帯びてきた今、ここでは3つの方法についてより詳しく見ていこう。
G1優勝
前述した通り、G1の優勝者にはヘビー級王座への挑戦権利証が与えられる。既に保持するIC王座と共にこれを守り抜けば、史上初の東京ドーム2日間公演となる年明けの『WRESTLE KINGDOM』で確実にタイトルマッチが組まれることになる。
選りすぐりのヘビー級戦士たちがひしめく中、優勝までたどり着くことは簡単なことではない。また、今年は『DOMINION』内でそれぞれ参戦を表明した鷹木信吾、ジョン・モクスリー(前WWE/ディーン・アンブローズ)、KENTA(前WWE/ヒデオ・イタミ)の存在により、例年以上の難易度となることも濃厚だ。
ただ、内藤は第23回(2013年)、第27回(2017年)で実際に優勝した経験を持っている。

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過去に培った“勝ち方”をフルに動員すれば、難敵を出し抜く可能性も大いにあるだろう。先の発言のように誰にも文句を言わせないためには、まずはこの方法を全力で狙いにいくのが先決だ。
現王者撃破
G1のリーグ戦で現王者が敗れる波乱が起こった場合、大会後に同カードでのタイトルマッチが組まれる事例が多い。現在の王者はオカダ・カズチカだが、彼を撃破することができれば『WRESTLE KINGDOM』を待たずして挑戦に臨める可能性が浮上する。
ただし、オカダと対戦できるかどうかは6月14日に発表されるブロック分け次第であり、別ブロックに振り分けられれば当然対戦の可能性は消滅する。この方法を用いるためにはオカダを撃破する実力だけでなく、まずは同ブロックに入る運も必要となる。
挑戦権利証の奪取
仮に優勝を逃した場合は、優勝者から権利証を奪うという方法もある。G1終了後から年始大会までの半年間で権利証を奪い、そのまま守りきることができればG1で優勝せずともヘビー級王座を視界にとらえることが可能となる。
2012年の初回贈呈から昨年まで、過去13回試合が行われ、権利証が優勝者から移動した例は一度もない。ただ、前人未到の二冠を狙うならば、これくらいのジンクスは打ち破ってしかるべきだろう。

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もちろん、以上の方法を用いるためには並行してIC王座を防衛し続けることも必須条件となる。“二兎”を追うことは間違いなく茨の道となるが、果たして内藤は公言通りに歩を進めることができるのか。“制御不能のカリスマ”の一挙手一投足に今後も要注目だ。