コロナ禍により6割の人は体重増加、体型の崩れも
新型コロナウイルス感染拡大により、生活様式が一変した人も多いだろう。旅行の自粛や仕事のリモートワーク化など自宅で過ごす時間が増えた方も多いはずだ。
歩数計アプリ「RenoBody」が全ユーザーを対象に自粛期間中の活動状況についてアンケートを行った結果、新型コロナウイルス感染拡大の前と後の日常生活では、およそ半数の人が運動量が減少したと報告されている。
自宅に引きこもる時間が長くなると運動不足に陥り、消費エネルギーが大きく減少し食生活も乱れる。事実、コロナ禍で体重が増えた人は6割にも上るというのだ。
脂肪の蓄積による体重の増加が生活習慣病につながることは周知の事実であるが、その他にも、ぽっこりお腹やたるんだ二の腕など体型の崩れにも大きな影響をもたらす。
活動の自粛が求められる現在、コロナ太りによる体型の乱れで部分的な脂肪の蓄積が気になる人も多いだろう。気になる部位の脂肪を減少させていくためには部分痩せのための筋力トレーニングが重要となる。
部分痩せの要因はホルモンと血流量
人の体は日々の摂取カロリー量と消費カロリー量のバランスで体重の増減が決まるため、脂肪の燃焼の特性上、部分痩せは不可能であると言われることも多い。しかしその反面、筋力トレーニングと部分痩せの効果を示す研究結果も見受けられる。
アメリカで行われた研究では、日常的に筋力トレーニングを行っている腕と筋力トレーニングを行っていないもう一方の腕の皮下脂肪を比較した結果、日頃から筋力トレーニングをしている腕の方が皮下脂肪が少なかったことが明らかになっている。
また、上半身の筋力トレーニングと下半身の有酸素運動を行ったグループと下半身の筋力トレーニングと上半身の有酸素運動を行ったグループの脂肪量の減少を比較した研究では、前者のグループでは上半身の脂肪量が、後者のグループでは下半身の脂肪量が優位に減少したこと明らかになったのだ。
このように、どこの部位に着目して筋力トレーニングを行うかによっても脂肪の燃焼量は異なり、部分痩せが起こることが考えられる。
部分痩せが起こるメカニズムとしては、筋トレによって分泌されるアドレナリンやノンアドレナリンなどのホルモンが脂肪の分解を活性化させることが関係している。
これらのホルモンは血流が多い部位に多く届けられるため、トレーニングで使用した部位ほど脂肪燃焼が活発になり部分痩せが可能となるのだ。
部分痩せには低負荷高回数の筋力トレーニングが有効
部分痩せを行うためには、痩せたい部分の筋肉を刺激する筋力トレーニングが有効となる。
そのため、お腹周りの脂肪を燃焼したい場合は、お腹周りの筋肉に負荷かがかかる筋力トレーニングが、脚周りの脂肪の燃焼であれば脚周りの筋肉に負荷がかかる筋力トレーニングが必要となる。
それでは、具体的にどの程度の筋力トレーニングが有効のなのだろうか?ポイントは血流量にある。筋力トレーニングにより分泌されるホルモンは、血流の増加によりトレーニング部位に多く流れ込み脂肪の分解が促進される。
高負荷の筋力トレーニングでは、血流の増進が少なくトレーニング部位に流れ込むホルモン量が少なくなる。そのため、低負荷や中負荷の筋力トレーニングの方が血流が活発となり、大きな部分痩せ効果が期待できるのだ。
大手スポーツメーカーのデサントが行った低負荷の筋トレと部分痩せに関する試験では、腕立て伏せ、腹筋、スクワットを各15回2セット、週に6回行うことで6週間後に二の腕は−2.7cm、ウエスト−1.5cm、太もも−2.5cmという結果が報告されている。低負荷のトレーニングでも十分に部分痩せ効果が期待できるのだ。
コロナ太りにより体で気になる部位が出てきた方は、是非とも部分痩せトレーニングを取り入れていきたい。自宅でできる手軽な筋力トレーニングで気になる部位を引き締めていこう。
《ライタープロフィール》
近藤広貴
高校時代にボクシングを始め、全国高校総体3位、東農大時代に全日本選手権3位などの成績を残す。競技引退後は早稲田大学大学院にてスポーツ科学を学ぶ。現在は母校の教員としてボクシング部の指導やスポーツに関する研究を行う傍ら、執筆活動を行っている。
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