筋肉量が減ると基礎代謝も低下し、リバウンドを誘発
戦後の日本では食生活の欧米化が進み、ファーストフードなどハイカロリーな食べ物が増え、肥満率が高まっている。独立行政法人国立健康・栄養研究所の調査によると、日本国内の肥満率は1970年代と比べ1.5倍以上に増えており、現在は日本人男性の3~4人に1人が肥満とされる。
肥満は様々な病気の要因になるため、心身の健康のためにダイエットに取り組む方も多いだろう。ダイエットで体重を減少させるメカニズムとして、カロリー計算が重要になる。脂肪を落とし痩せていくにはカロリー計算を【摂取カロリー<消費カロリー】とする必要がある。
注意点としてダイエットは脂肪を減少し、綺麗な体をつくれる反面、同時に筋肉を分解し減少させる。脂肪だけを落とすことは不可能に近いのだ。筋肉が1㎏減少することで基礎代謝が50~70キロカロリー低下するなど、筋肉量の低下はダイエット後のリバウンドを誘発するリスクを高める。
ダイエットを行う際は、いかに筋肉を残しつつ余分な脂肪を減少させていくかが重要となる。ダイエット時は栄養摂取と継続的な筋トレを取り入れることで筋肉を維持しながらのダイエットが可能となるのだ。
体重1㎏あたり2gのたんぱく質摂取で筋肉量の減少を抑える
ダイエットというと、摂取カロリーを抑えるために食事の摂取量を著しく減少させるイメージを持つ方も多い。しかしながら、食べないダイエットでは筋肉の分解を早め筋肉量を減少させてしまう。筋肉量を落とさないためには、ダイエット時のたんぱく質の摂取が重要だ。
海外で行われた研究では、ダイエット時にカロリー摂取を制限した食生活を送る中、高たんぱくな食事を心がけたグループとたんぱく質の摂取量を気にしないグループの筋肉量の低下を分析した。
その結果、高たんぱくな食生活を行ったグループは、筋肉量の減少を抑えながら、脂肪の減少に成功したことが報告されている。高たんぱくな食事は筋肉の分解を抑えられるのだ。
この研究では1日に体重1㎏あたり2g以上のたんぱく質を摂取して行われた。体重70㎏の場合、1日当たりの目安のたんぱく質摂取量が140g以上という計算となる。
筋肉の減少を抑えたダイエットでは、鶏むね肉や刺身など高たんぱく質で低カロリーの食材摂取を心がけたい。
ダイエット中の筋トレは筋肉量の減少を抑える
筋肉を残したダイエットを行うためには、有酸素運動よりも筋トレを軸としたダイエットが重要だ。有酸素運動は大きなカロリー消費ができる反面、やりすぎはかえって筋肉の分解を進め筋肉量の低下を引き起こす。筋肉を残したい場合、1日1時間程度、週2~3回の有酸素運動で十分だろう。
アメリカの管理栄養士アルバート・マセニー氏が行った実験では、肥満者を対象に食事制限の中に筋トレを取り入れたグループと取り入れなかったグループの筋肉量の減量に着目した。実験の結果、筋トレを取り入れたグループは取り入れなかったグループと比べ筋肉の減少量を半分に抑えることができたのだ。
また、2015年にハーバード大学で行われた研究では、ダイエット時に有酸素運動に加え筋トレを行ったグループの方が約2倍の腹部脂肪減少につながったことが報告されている。
このことからも、筋トレはダイエット時の筋肉量の減少を抑えるばかりか、よりスムーズな脂肪の減少を可能にすることが示されている。ダイエット時の筋トレはダンベルやバーベルを用い、筋肉に強い負荷をかけた筋トレが望ましい。
リバウンドを防止し、スタイリッシュで健康的な体を作るには、いかに筋肉を落とさずダイエットを行うかがカギである。たんぱく質の摂取量と筋トレの実施を心がけ、筋肉を維持しながら痩せていきたい。
《ライタープロフィール》
近藤広貴
高校時代にボクシングを始め、全国高校総体3位、東農大時代に全日本選手権3位などの成績を残す。競技引退後は早稲田大学大学院にてスポーツ科学を学ぶ。現在は母校の教員としてボクシング部の指導やスポーツに関する研究を行う傍ら、執筆活動を行っている。
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