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【京王杯2歳S】ルメール騎手が過去5年で4勝! 牙城を崩すのは若手騎手か

2021 11/4 17:00佐藤永記
京王杯2歳S前走距離別成績

ⒸSPAIA

過去10年で4戦4勝 ルメール騎手が強い

1400mの重賞・京王杯2歳Sの近年を見ていくと、将来短距離路線に進む馬が圧倒的に多い。昔はこれが当たり前というほどではなかった。なぜなら昔はホープフルSという2歳で2000mを走るG1がなかったため、将来クラシック戦線に向かう馬も出走していたからだ。

そのため過去10年を見るとまず気になるのは前走1500m以上と、京王杯2歳Sの1400mを超える距離を走った馬の成績が【0-3-4-31】ということ。優勝馬の前走は全て1400m以下だった。


過去10年京王杯2歳S前走距離別成績

そして、順調であることもかなり重要である。前走着順別の成績を見ても、10年で9頭が前走連対馬。2着も前走で勝利した馬が8頭を占めている。まあ、2歳戦なので戦歴も浅く対戦相手もバラけていることが多いので当然といえば当然だが、裏を返せば「よほどの前走敗戦理由がある」「適性外の条件を走った」とかでもない限り短期間で成長するというのは難しいといえるだろう。


過去10年京王杯2歳S前走着順別成績

ここまでの話は「あたりまえ」の部類だろう。だが、騎手別成績を見ると、そうとも言っていられない。過去10年でルメール騎手が【4-0-0-0】、つまり京王杯2歳Sにルメール騎手が騎乗していたら必ず勝っている。しかも、先ほど前走着順別成績のなかで10頭中9頭が前走連対馬だったと紹介したが、9頭中4頭が前走2着馬で、そのうち3頭がルメール騎手で京王杯2歳Sを勝利している。昨年のモントライゼも小倉2歳S2着(騎手は川田将雅)から京王杯でルメール騎手が騎乗し先行抜け出しで勝利している。ちなみにルメール騎手以外で前走2着だった馬が勝利したのは10年前、2011年のレオアクティブ(横山典弘騎手騎乗)までさかのぼる。

同じ土曜、阪神では2歳牝馬重賞・ファンタジーSが組まれており、ルメール騎手は過去10年だとこちらに5回騎乗している。こちらでの成績は【1-0-1-3】、つまり土曜東京に遠征してまで京王杯2歳Sに騎乗してくるルメール、という時点で脅威、ということが伝わればいい。もはや京王杯2歳Sはルメール2歳Sなのだ。そして今年のルメール騎手が騎乗するのは1番人気の可能性が高いのコラリン。ああ、もう堅い結果で仕方ないか……

打倒ルメールはデータにない若手騎手しかいない

この傾向をデータで崩すなら「対象外」を探すしかない。前述のデータは過去10年のもの。ならばデビュー10年未満の騎手なら、これまでのルメール天下を打ち破れるか。という可能性を見ていく。

執筆時点で騎乗予定が決まっているなかで可能性があるのは3頭。まずはヴィアドロローサ(横山武史騎手・5年目)だ。デビューから函館、札幌の1200mを連勝し、間隔を空けての出走となる。前走の着順も距離も問題ない。次はラブリイユアアイズ(団野大成騎手・3年目)、札幌1200mの新馬戦を勝ち、OPで札幌1500mのクローバー賞を逃げ切った。最後の1頭はキングエルメス(坂井瑠星・6年目)だ。こちらは札幌1200mの新馬戦を勝利したものの、クローバー賞は中団から5着。鞍上も10年未満とはいえ取り上げた3人のうち一番騎乗経験が長い6年目で割引か。

ルメール=コラリンが中心であろう京王杯2歳Sだが、横山武史、団野大成の二人がこれを打破できるかどうかに期待したい。また、騎乗予定がまだ決まっていない馬たちの騎手が誰なのかも気にしておきたいところだ。


<ライタープロフィール>
佐藤永記
20代を公営ギャンブラーとして過ごし、30歳から公営競技の解説配信活動を開始。競馬を始め多くの公営競技ファンに各競技の面白さや予想の楽しみを伝えている。現在はYoutubeで配信活動を続けながらライターとして公営競技の垣根を超えて各所で執筆中。


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