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【アルゼンチン共和国杯】前走GⅠかオールカマー組、一発あるのは昇級馬 当日まで覚えておきたいデータ

2021 10/31 17:00勝木淳
アルゼンチン共和国杯インフォグラフィック,ⒸSPAIA
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ⒸSPAIA

近年は上位人気堅実

今年最後の東京開催がはじまる。その開幕週はアルゼンチン共和国杯。63年の第1回からしばらくは春開催、11月に移ったのはメジロシートンが勝った84年。秋の目黒記念廃止によるものだった。そしてタイキエルドラドが勝った97年から現在の1週目に移った。

ジャパンCの前哨戦というより、ハンデ戦でもあり、中距離重賞常連組に新興勢力の激突が例年の図式だ。その傾向について過去10年間のデータをもとに考えてみよう。


過去10年アルゼンチン共和国杯人気別成績,ⒸSPAIA


目黒記念とこのレースしかない東京芝2500m、ハンデ戦、比較しにくいメンバー構成など難解な傾向にあるこのレースだが、それが反映されたか1番人気は【2-2-1-5】勝率20%、複勝率50%と評価が難しい。勝った2頭は15年ゴールドアクター、17年スワーヴリチャード、いずれも後のGⅠ馬。それだけ力がないと1番人気では勝てないということだろうか。

しかしながら、2番人気【4-0-0-6】勝率40%、3番人気【3-1-5-1】勝率30%、複勝率90%、4番人気【0-4-0-6】連対率40%と上位人気はみんな好成績。5番人気以下もパラパラと馬券圏内にくるものの、極端な波乱はこの10年間では少ない。上位人気4頭が軸に最適だ。


過去10年アルゼンチン共和国杯斤量別成績,ⒸSPAIA


ハンデ戦なので、斤量別成績を調べる。かつては08年スクリーンヒーローが格上挑戦の53キロで勝利するなど、軽量馬の活躍はそこそこみられた。しかしこの10年では54キロ以下は【1-1-3-53】。馬券圏内に来る確率は55キロ【1-4-6-26】複勝率29.7%から上昇。もっともいいのは56キロ【6-2-0-19】勝率22.2%、複勝率29.6%。4歳以上牡馬の基準から1キロ少ないあたりに好走ゾーンがある。

逆に基準にあたる57キロは【1-1-0-18】勝率5%、複勝率10%とダウン。つまり、重賞好走歴はないが、それなりに重賞で奮闘しているような馬がいい。57.5キロ、58キロは好走確率が再び上昇するので、重賞ウイナーも素直に評価したい。


東京巧者のオールカマー敗退組

好走馬のイメージを簡単につかんだところで、ここからは前走成績から具体的に今年の好走馬を探していきたい。


過去10年アルゼンチン共和国杯斤量別成績,ⒸSPAIA


ハンデ戦とはいえ、GⅡ格。やはり格上のGⅠからここに挑む馬は【3-1-1-9】勝率21.4%、複勝率35.7%と好成績。昨年の勝ち馬オーソリティがこれに該当する。連覇となれば中山で行われた82、83年ミナガワマンナ以来になる。

出走数が多いため確率は低く出るが、次に注目したいのは前走GⅡ【4-4-2-54】勝率6.3%、複勝率15.6%だろう。なかでも前走オールカマーが【2-2-1-16】勝率9.5%、複勝率23.8%。今年も6着サトノソルタス、8着アドマイヤアルバが出走予定。ここに注目しよう。


過去10年アルゼンチン共和国杯前走オールカマー組着順別成績,ⒸSPAIA


3、4着の惜敗組の成績がいいものの、6~9着も【1-1-1-7】勝率10%、複勝率30%と悪くない。サトノソルタスは東京【2-1-1-1】、アドマイヤアルバは今年の目黒記念3着とそれぞれ舞台適性は十分あり、巻き返しがあって不思議はない。

同じ中距離GⅡ京都大賞典からはディアマンミノル、ロードマイウェイらがスタンバイ。ところがオールカマーと比べると【0-2-0-25】と頼りない。好走2頭は京都大賞典3、4着馬なので、ディアマンミノルはセーフか。

京都大賞典がつながらないのは、京都芝2400mという比較的軽いレースになりやすい舞台条件からタフな東京芝2500mに替わるからだろう。今年の京都大賞典はタフな阪神芝2400mであり、今年はこの傾向、例外に出る可能性は指摘しておく。

なぜなら、マカヒキが勝った京都大賞典は序盤800m通過後から最後の200m標識まで1400mも11秒台が続いた持久力戦。最後の200m13.0で後方から差し込んできた4着ディアマンミノルは展開を味方につけての記録ではあるが、例年よりはアルゼンチン共和国杯で好走する可能性がある。

最後は気になる前走3勝クラス【2-3-3-17】勝率8%、複勝率32%について。格下からハンデ差を利して一気に重賞好走というパターンもアルゼンチン共和国杯の特徴。今年はアンティシペイト、フライライクバードが該当する。


過去10年アルゼンチン共和国杯前走3勝クラス組距離別成績,ⒸSPAIA


そこで前走3勝クラスの距離別成績を出すと、アンティシペイトの2000mは【0-0-0-6】。一方フライライクバードの2200mは【1-0-1-2】勝率25%、複勝率50%。2400m【1-3-2-8】勝率7.1%、複勝率42.9%も含め格下からここに挑むなら、長めの距離を使ってきた馬がいい。

以上のデータからオーソリティ、サトノソルタス、アドマイヤアルバ、フライライクバードが浮上する。

ライタープロフィール
勝木 淳
競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュース公式コメンテーターを務める。共著『競馬 伝説の名勝負 2000-2004 00年代前半戦』(星海社新書)。


アルゼンチン共和国杯インフォグラフィック2,ⒸSPAIA



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