小粒なメンバーに見えても
2021年11月6日、阪神競馬場で行われるのが2歳牝馬限定の重賞、ファンタジーS。なにしろ今週は中央競馬4重賞に加えて、地方ではダート競馬の祭典・JBC4競走まであるわけで、週明けからこのレースを丁寧に予習している方はなかなかコアでレアなファンという感じがする。ご期待に沿えるよう、頑張ってデータを分析していきたい。
アルテミスSの新設に伴い、評判馬が大箱・阪神JFと同距離のそちらに流れるようになった。これでファンタジーSは大きくアオりを受けたのかと思いきや、実はそうでもない。確かに、レース時点では小粒なメンバーに見える年も多いが、19年レシステンシア、17年モズスーパーフレア、16年ディアドラ、15年アドマイヤリードなど、後から見るとなかなかのメンバーが出走している。
その反面、上記の中で勝ったのはレシステンシアだけ。ディアドラは3着、他2頭は着外に敗れている。別にこのレースに限った話ではないが、GⅠ級の素質があっても、未完成の状態では結果につながらない。早熟性と、現段階での各馬の経験値を踏まえて予想する必要があるだろう。
そんなファンタジーS。昨年に続いて阪神での代替開催となるが、過去10年のデータを参考に検討を進めていこう。
念頭に置きたい波乱の可能性
まずは人気別から。1番人気は【3-2-3-2】と安定しているが、4番人気以下が6勝、2014年には14番人気のクールホタルビが優勝。近年は堅めの決着が続いているが、2008年から2014年にかけて、なんと7年連続で3連単配当が10万超となっている。常に波乱の可能性は頭に入れておきたい。
裏のアプローチとして、1番人気の複勝を買うという手もある。1番人気馬はこの10年で複勝回収率112%。他の2頭に人気薄が入ることで、複勝配当が「ハネる」年が多い。人気薄サイドの検討に困ったときの奥の手として忍ばせておきたい。
続いて前走クラス別。1勝クラス、OP特別経由はいまひとつ、新馬・未勝利がベターで、理想は重賞組という形。重賞組は5勝、複勝率37.0%、前述のクールホタルビや11年8番人気1着アイムユアーズもここに含まれる。重賞好走馬はもちろん、6着以下に敗れてきた馬の巻き返しもある。強い相手に揉まれてきた、という点は評価したい。
出走間隔別では使い詰めの馬が苦戦している傾向にある。中3週以下では【1-2-1-47】。中4~8週は複勝率25.6%、中9週以上は同35.7%。なるべくゆとりを持ったローテーションで来ている馬がいい。
種牡馬に着目すると、とにかくディープインパクト産駒の活躍が目立つ。過去10年で【2-3-1-6】、複勝率50.0%。仕上がり早の牝馬を多く出す父だけに、納得の結果といえる。
今年はそんなディープインパクト産駒の出走はないのだが、孫にあたるシルバーステート産駒(ウォーターナビレラ)やミッキーアイル産駒(ナムラクレア、スリーパーダ)などがスタンバイ。サンプルは少ないものの昨年はミッキーアイル産駒のメイケイエールが勝利。キズナ産駒もこれまで2頭が出走して3着1回。「ディープインパクト系」というくくりでも好成績が出ており、まとめて注目してみたい。
最後に2歳重賞の「必殺技」、生まれ月別成績。今回もやはりというべきか、勝率・連対率・複勝率全てのトップが1月生まれ。1月生まれは複勝率50.0%と抜群の安定感で、6番人気以下からも2頭の連対馬が出ている。ただ、残念ながら今年は該当馬がいなかった。
2・3月生まれまでは複勝率20%前後を保っているが、4月以降になると少し落ちる。最初にも書いたが早熟性が問われるレース。極力3月以前に生まれた馬を重視したいところだ。
ミッキーアイル産駒の連覇へ
ここまでの内容をまとめると、「波乱含みだが、あえての1番人気はアリ」「前走重賞組が◎」「中3週以下は減点」「ディープインパクト系が狙い目」「4月以降生まれはやや苦戦」となる。
小倉2歳Sでワンツーを決めたミッキーアイル産駒、ナムラクレアとスリーパーダがそろって出走予定。データ的には甲乙つけがたいが、2月生まれという点で2着スリーパーダが一歩リードか。ほか、ディープインパクト系ではサトノアラジン産駒ヴィルチュオーズも登録。新馬戦はそこまで目立つ内容ではなかったが、14頭の多頭数をきっちり勝ち上がっており、ヒモには入れておきたい存在だ。
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